ケース①~プレイセラピーを通して~ | Y’s Lab.

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当研究所は、すべての方を対象に、社会で生きぬくための有効なスキルをご提案、ご提供するための施設です。
臨床心理士が独自に開発したSSTプログラムを提供し、皆さまの「生きる力」の育成に尽力いたします。

※ケースと記載しておりますが守秘義務の観点から、ラボのセラピストらが今までに経験したさまざまなケースの情報をミックスさせていただいております。特定の事例を元にして書かれたものではなく、あくまでもラボのセラピストらがクライエントであるたくさんのお子さまとの関わりの中での気づきや感じたことなどをご紹介致します。

 

療育と言っても、最初から療育にのる子もいればそうでない子もいます。

この場合、セラピストとクライエントである子どもとの間に良好な信頼関係を築くために、敢えてプレイセラピーを実施することがあります。特に幼児さんへの適用は多いです。

 

例えば、他者から評価されることが苦手なお子さんは、成果を求められる課題を避けること多くあります。Aさんもそのうちの一人でした。

プレイセラピーを始めた頃は、どんなに肯定的な言葉がけをしても、攻撃的な言葉や叩く、物をぶつけるといった激しい行動がかえってきていました。

最初はそんなAさんに対して、受け入れたい気持ちと、反面やるせないない気持ちの葛藤がありました。そのような葛藤の日々をAさんと過ごしていました。セラピーを続けるうちに、私自身もAさんに対して色々な思いを経験した後、あるとき「とことんAさんにつきあってみよう」と決意しました。

 

それから程なくして、少しずつAさんからセラピーの中でセラピストを含めたやり取りや、応答のある言葉がみられるようになってきました。またこちらがあえて用意した課題を、照れくさそうに提出してくれるようにもなりました。この課題には、意図があり、セラピストとの心的距離感を物理的な目に見えるものとして表現できるようセッティングしたものでした。この出来事をきっかけとして、Aさんが私と過ごすセラピーの場所では、どんな自分でも受け入れてもらえるんだと感じられるようになっていったようです。

 

フィードバック時には、保護者さまからのさまざまな園やご家庭での様子を伺い、Aさんが園でお友達とのいさかいでずっと我慢をしていたことを知りました。このことは、セラピーを始めたばかりのとき、園での苦しかったAさんの複雑な気持ちや、葛藤の結果だったということに気づかされました。

 

セラピーの場面において、他者からのきつい言葉を再現したり、自分のルールを一方的セラピストにも押しつけるようにふるまうことで、過去に経験した悔しかった気持ちや苦しみを発散させることがあります。そして、そんな嫌な気持ちを表出しても、許してもらえるという安心感がAさんの中で生まれたのだと思います。

 

セラピストとして、クライエントを慮るが故に、何とかしてあげたい、力になりたいという思いが強くなる瞬間があります。しかし、主役はあくまでもクライエントであり、セラピストの役割はクライエントに寄り添い伴走することなのだと改めて胸に刻んだ瞬間でした。