これは数年前に体験した話です。
この日も友人のmatsuと一緒に、福島県の心霊スポットへ向かっていました。
目的の場所は、三森峠にある旧三森隧道という廃トンネルです。
新潟市からおよそ3時間ほどして猪苗代湖付近に着くと、地図などで確認しながら何とか三森峠に到着しました。
(matsu)『えーと、どこから行けばいい?』
(yuki☆)『確かこの旧道から入ればあると思うけど。』
問題の廃トンネルがあるといわれる旧道に車を走らせて行きました。
(当時はまだスマホやカーナビではなく、普通の地図の本を見ていました)
しかし峠道に入って暫く車を走らせましたが、何故か一向に廃トンネルが見当たりません。
(yuki☆)『あれ?おかしいな。そろそろトンネルが見えてきてもいいはずなのに…。』
(matsu)『もしかして道間違えたんじゃないの?』
(yuki☆)『いや、確かにこの道で合ってるはずなんだけど…。』
地図で確認してみても確かにこの道で合っているはずなのです。
(yuki☆)『多分、もうちょっと先の方にあるのかもよ。』
(matsu)『そうなんかな?』
もう少し先にあるかもしれない。
そう思い、更に山の奥の道へと車を走らせていきました。
しかしやはりいくら車を走らせてもトンネルは見当たりません。
(matsu)『これさ、やっぱり道間違えたんじゃない?』
(yuki☆)『うーん…そうかもね。どこかUターンできるところないかな?』
どうやらどこかで道を間違えたらしく、Uターンして戻ることにしました。
ですが、この道はかなり道幅が狭く、しかも左側は崖になっているため、Uターンしようにもできない状況でした。
仕方なくUターンできそうな広い場所を探すため、更に車を走らせていきました。
すると突然道の真ん中に、まるで道を塞ぐようにして雪の塊が山のように積もっていました。
(matsu)『えっ?雪?まだ残ってんの?』
(yuki☆)『本当だ…。これいけるかな?』
(matsu)『多分行けるろ。ていうかUターンできないから行くしかないよね。』
そう言うとmatsuは、強引にそのまま雪の塊めがけて車を走らせました。
ガシャッガシャッ!
という音とともに、車はなんなく雪の塊をあっけなく壊していきました。
(yuki☆)『全然大丈夫だったね(笑)』
(matsu)『まぁ、あのくらいの雪ならね。』
突然の雪の塊に戸惑いながらも、何とか突破して安心していました。
しかし、それはほんの序章に過ぎなかったのです。
なおもUターンできそうな場所を探して車を走らせていくと、なんとまたしても道の真ん中に雪の塊がありました。
しかもそれは明らかに先程の雪の塊よりも大きく、山のように積もっていました。
(yuki☆)『えー!またあるじゃん。これはさすがに無理なんじゃね?』
(matsu)『いや、多分行けると思う。』
なんとmatsuはまたしても強気でした。
matsuは躊躇することなく、再び強引に雪の塊に突っ込んでいきました。
そしてその瞬間、
ゴシャッ…
という鈍い音とともに、車が雪の塊にハマってしまいました。
どうやら車の腹が雪の山の塊につかえてしまったようでした。
ブウゥーン!ブウゥーン!ブウゥーン!
キュルキュルキュルッ!
(yuki☆)『うわっ!これハマっちゃったじゃん…。』
(matsu)『ヤバいね。どうしよう…。』
車の腹が雪にハマったためタイヤが空転してしまい、身動きがとれない状況になってしまい少し焦りました。
こんな人も絶対来ないような、どこかもわからない初めてきた県外の山奥の道…。
勿論、携帯電話も電波がなく圏外…。
もしやこのまま朝までここで待って、歩いて峠道を下って助けを呼ぶしかないのか。
と考えていました。
しかし冷静に考えてみると、これはただの雪なので、掘って崩していけばもしかしたら脱出できるかもしれない。
その事に気がつき、車から降りてスコップを探しました。
ところが…。
(yuki☆)『あれ?もしかしてスコップ無いの?』
(matsu)『うん。いつも積んでるんだけど、今日たまたま家に置いてきちゃったんだよね…。』
(yuki☆)『うそ?マジで😱』
なんとmatsuは、よりによってこの日はスコップを積んでこなかったそうなのです。
いよいよヤバいなと思っていると、
(matsu)『でもこれならあるけど…』
そう言ってmatsuが取り出したのは、使い古したようなスノーブラシでした。
正直これでは役に立たないだろうと思いましたが、無いよりマシだと思い、早速そのスノーブラシで雪の山の塊を崩すように掘っていきました。
そして暫く交代しながら少しずつ雪の塊を崩していき、
(matsu)『そろそろ大丈夫だろ…。』
そう言うとmatsuは車の運転席に乗り、車のアクセルを踏みました。
ブウゥーン!ブウゥーン!ブウゥーン!
キュルキュルキュルキュルッ!
しかし先程よりは少しマシになったものの、まだ車は動きそうにありません。
そしてここで、ある作戦が頭に浮かびました。
(yuki☆)『あのさ、俺が後ろから車を押すからmatsuは車に乗ってアクセル踏んで!』
(matsu)『わかった!』
matsuにそう言うと、全力で車を後ろから押しました。
ブウゥーン!ブウゥーン!ブウゥーン!
キュルキュルキュルキュルッ!
ブウゥーン!ブウゥーン!
しかし少しは手応えはあったものの、まだ車は脱出できそうにありません。
仕方ないので、再度スノーブラシで雪の塊をなおも堀り続け、その作業を暫く繰り返していました。
するとその時のことです。
突然崖下の森の方から、明らかに
ガサガサッ…ガサガサッ…
と音が聞こえてきたのです…。
(yuki☆)『えっ?何か今聞こえた…。』
その音はまるでこちらに向かって近づいてくるように、次第に大きくなっている気がしました。
ガサガサッ…ガサガサッ…
ジャリッ…ジャリッ…
恐怖心と戦いながらもなおも雪の塊を堀り続けました。
(matsu)『よし!そろそろ大丈夫だろ…。』
(yuki☆)『うん、多分ね…。』
そろそろ動くだろうと思い、再度車を押しました。
ブウゥーン!ブウゥーン!
しかしこれだけやってもまだ動く気配がありません。
するとここで自分は、また新たな作戦を思いつきました。
それは、最終手段として車を無人のままギアをドライブにかけ、二人で車を後ろから押して、動いたらすぐに車に乗ってブレーキをかけるという、かなり危険な賭けに出たのです。
すぐに飛び乗れるよう運転席のドアを開けっ放しにしてギアをドライブにかけると、二人で力一杯車を後ろから押しました。
すると車はゆっくりと動きはじめ、雪の塊から脱出しました。
その瞬間、
(yuki☆)『今だ!』
と叫んだ自分は、急いで車の運転席に飛び乗りすぐにブレーキをかけて車を停止させました。
(matsu)『やった!抜け出せた!』
(yuki☆)『ふぅ…危なかった…。なんとか脱出できたな…。』
すぐ目の前は深い崖。
一歩間違えたら崖の下に落ちていたかもしれないのです…
その後は結局Uターンせず、峠道をひたすら進み続けていき、どこかもわからないような集落へと下ってきました。
何はともあれ、なんとか無事に峠から戻ることができました。
(matsu)『いやー、ヤバかったねさっきは(笑)』
(yuki☆)『うん。もしあのまま崖下に落ちてたら、うちら二度と発見されてないよ(笑)』
(matsu)『でも何かさ、あそこかなり気味悪かったよね…。』
(yuki☆)『わかる。それになんかさ、足音みたいなの聞こえたよね?』
(matsu)『聞こえたね…。しかもだんだん近づいてくる感じしたよね。』
(yuki☆)『そうそう!あそこももしかしたらヤバい場所なのかも。車とか落ちてそうだし…。』
それから数日後、この場所について調べてみたところ、なんとあの日自分らが迷って入った峠道は、御霊櫃峠という有名な心霊スポットだったのです。
まさかあの時に聞こえた謎の足音は…
それ以来、この三森峠と御霊櫃峠には訪れていません。
しかしやはり三森隧道はいずれ行ってみたい場所なので、もし機会があればまた探してみようと思います
なるべく雪のない時期に(笑)
最後まで読んでいただきありがとうございます!
それではまた次回の記事で👋