これは今から10年以上前のお盆の日の話です。
この日は友人のmatsuと一緒に、隣県である福島県の心霊スポット探索に出掛けました。
目的の場所は、有名な心霊スポット横向温泉ロッジと猪苗代のお化けペンションです。
どちらも全国的にかなり有名な場所で、福島県では知らない人はいないくらいです。
実はこの数か月前、自分は父親と一緒に一度福島県にドライブでこの横向スキー場まで来たことがあるのですが、その時はまだ4月だったため、横向ロッジの廃墟ホテルの周辺は雪で埋まっていて近づくことができませんでした。
なので今回こそはという思いだったのです。
夜19時、matsuが車で自宅まで向かいに来ると、阿賀町の49号線を通って隣県である福島県へ車を走らせました。
およそ2時間ほどしてようやく猪苗代町に着くと、まずは土湯峠にある横向温泉ロッジの廃墟の方へと向かいました。
暫く長い山道を車を走らせ、途中T字路の分岐点に来ました。
matsu『えーと、これはどっちだ?』
yuki☆『うーんと、確かこっちの方だったと思う』
わずかな記憶を頼りに道を進んでいくと、真っ暗な闇の中に浮かび上がる巨大な廃墟ホテル、横向温泉ロッジの建物が見えてきました。
yuki☆『あっ、あった!あれだよ!横向ロッジ。』
matsu『えっ?!あれ?』
早る気持ちを抑えながら廃墟ホテルに近づいていくと、廃墟の前になにやら人がいることに気がつきました。
見るとそこには大勢の若者がおり、どうやら肝試しをしている様子だったのです。
matsu『これ肝試ししてるじゃん…。😅』
yuki☆『そうみたいだね。これじゃあ邪魔でうちらはまだいけないな…。』
想定外なことに戸惑いながらも、仕方なく若者グループがいなくなるまで車の中で待つことにしました。
やはりさすがは超有名スポットだけあって、肝試しに来る人らは後を絶たないようです。
暫く車の中で時間を潰しながら待っていると、ようやく肝試しの若者グループが帰っていったので、廃墟ホテルの前に車を停めました。
車の中で準備を整えると、早速廃墟の入り口へ向かいました。
事前に中古で買っていたソニーのビデオカメラのRECボタンを押して撮影を開始すると、まずは階段を上がって玄関口に行きました。
既に窓ガラスが全て無くなっており、真っ暗な闇の空間が広がっていました。
そして玄関口の上には、薄れた文字の横向温泉ロッジの文字が…。
yuki☆『うわー…、ヤバイなこれ…。結構雰囲気あるわ。』
matsu『うん…。』
ここは有名なだけあって今まで何度もメディアに取り上げられている場所なので、いつも以上に緊張しました。
廃墟内には壁の至る所にスプレーで落書きがされ、中にはとても悪趣味な不気味な人の顔等が書かれていました。
するといくつかある落書きの中で、少し気になる落書きを発見しました。
こっちへおいで→
その落書きは、上階へ続く階段のすぐ脇に書かれており、「こっちへおいで→」と書かれていました。
その矢印の指す方は、恐らく階段を上がった先にあるようでした。
しかしただのイタズラだろうと思い、特に気にせず探索していました。
そして扉の奥には真っ暗で不気味な長い廊下が続いていました。
matsu『この通路歩くのちょっと怖いな…。』
yuki☆『わかる。何か出てきそうな感じするよね…。』
あまりの不気味な雰囲気に後退りしそうでしたが、覚悟を決めて足を踏み入れて行きました。
一部屋ずつ順に見て回っていくと、またしても不気味な落書きを発見しました。
横向には子供の霊がいます でも引っ越しました山形に
という文章が書かれていました。
この横向ロッジには過去に火災があったらしく、亡くなった親子の霊が出ると言われ、特に子供の霊が出ると言われているのです。
(yuki☆『この落書き気味悪いな…。』
しかし更に恐ろしかったのが、長い廊下の奥にある大浴場だったのです…。
そこには壁一面にお経のような文字がビッシリ書かれ、更には
怨念の地
死亡現場
と大きな赤い字で書かれていたのです。
実はこここそが実際に死体があったと言われており、必ずと言っていいほど怪奇現象が起きると言われいるのです。
matsu『うわー…、ヤバイじゃんこれ…。死亡現場って書いてあるよ…。』
(yuki☆『どうする?中入って見てみる?』
matsu『いや、俺はやめておこうかな…。』
matsuはこの時かなり怖かったのか、中に入りたがりませんでした。
yuki☆『わかった、じゃあ俺一人で見てくるわ。』
仕方なく一人で恐る恐る内部を覗いてみると、そこには小さな浴槽があるだけでした。
yuki☆『あれ?ここが死亡現場?特になんもないじゃん。』
少し拍子抜けしながら出てくると、matsuがなにやら外の方へと続く勝手口を気にしていました。
yuki☆『どうした?』
matsu『いや、なんかそっちの方からさ、足音みたいなのが聞こえた気がしたんだけど…。』
yuki☆『マジで?』
気になったのでその勝手口から外に出てみると、
なんとそこには親子の父親が亡くなったと言われているプール跡があったのです。
そのプール跡は草藪に覆われて鬱蒼としており、かなり不気味な雰囲気でした。
yuki☆『うわっ💦やべーよここ。稲川淳二がここに親子の霊が出るっていってた…。』
matsu『マジで?!』
ここは明らかに他とは雰囲気が違ったため、あまり長居しないほうがいいと思い、すぐに離れました。
その後も一番ヤバイと噂の大広間やボイラー室など建物内を一通り見て周り、そろそろ帰ろうと廃墟の玄関口に向かっていました。
するとその時の事です。
突然外の方から人の話し声が聞こえてきたのです。
matsu『あっ!ヤバイ!誰か人が来た!』
yuki☆『マジで?もしかしてヤンキー?』
確かに廃墟の丁度入り口付近から若者らしき輩の騒いでいるような声が聞こえてきました。
出入口は玄関口しかないためどうしてもそこから出る必要がありましたが、万が一絡まれたら厄介だなと思い、一旦懐中電灯の明かりを消して暫く様子を伺うことにしました。
しかしこんな怖い廃墟ホテルに何分も滞在しているのもラチが開かないと思い、覚悟を決めて玄関口に向かいました。
そしていざ玄関口から外に出てみると、そこには柄の悪いヤンキーがいるわけでもDQNがいるわけでもなく、ただの若いカップルがいるだけでした。
matsu『なーんだ。ただのカップルじゃん…。😅』
yuki☆『良かったー。ビビらせんなよ…。』
何とか無事に探索を終えると、次はもう一つの最強スポットである猪苗代お化けペンションへと向かいました。
情報によると、お化けペンションへ行くには猪苗代湖畔沿いの西久保交差点という信号のある場所を左折し、その道を少し走らせていくと途中で高速道路の下を潜る短いトンネルがあり、そのトンネルを抜けた後にVの字に続く狭い森の道があり、その奥にあるというものでした。
情報通りに交差点を左折して暫く車を走らせて行きました。
すると情報にあった通り、高速道路の下を潜るトンネルが前方に見えてきました。
yuki☆『あっ!高速のトンネルがある。て言うことはこの近くにあるはずだよ…。』
しかし何度かありそうな怪しい道を探しますが、中々お化けペンションは見つかりません。
そして何度か間違えている内に、まだ確かめていない道があることに気がつきました。
matsu『あと見てないのはここだけだね。』
yuki☆『そうだね。でもここ民家もあるし、さすがに無さそうな感じするけど…。』
ここではなければもう諦めて帰ろうと決め、ラストチャンスと思い、ダメ元で民家に挟まれた狭い坂道を上がってみることにしました。
民家の間を通り過ぎて強引に坂道を上がっていくと、道は段々と鬱蒼とした森の中へと入っていきました。
すると途中で道路のアスファルトは割れ、草木が伸び放題の荒れた道へと変わっていきました。
yuki☆『あれ?何かこの道怪しくね?ありそうな気がするな…。』
matsu『わかる…。』
もしかしたらこの先にあるかも…。
この時、妙な期待感ともう後戻りができない恐怖感が入り交じっていました。
すると…。
どしゃ降りの雨が降りしきる真っ暗闇の森の奥に、ヘッドライトで照らされた三角屋根の白い洋館が前方に見えたのです。
yuki☆『あっ、あった!あれだお化けペンション…!』
matsu『えっ!マジで?ヤバくね😱』
なんと思った通り、この坂道の先に本当にお化けペンションが存在していたのです!
ついに最恐の心霊スポットであるお化けペンションを発見してしまい、興奮を抑えきれませんでした。
その不気味な外観は、まるでヨーロッパの幽霊屋敷のような雰囲気でした。
そのあまりにも圧倒的な不気味なオーラは、今まで自分等が行ってきたスポットとは桁違いにレベルが違いました。
恐怖感に思わず言葉を失い、少しの間廃墟を眺めていると、すぐに
ここにいてはマズイ
と咄嗟に思い、
yuki☆『早くここから離れよう!ここにいないほうがいい!』
matsu『えっ?!わかった!』
matsuもこの時同じことを思ったのか、慌てて車をUターンさせ、逃げるように森の坂道を下って行きました。
yuki☆『ヤバかったね、あそこ。雰囲気が尋常じゃなかったわ…。』
matsu『わかる…。絶対出るでしょ、あそこ。』
横向温泉ロッジとお化けペンションは福島県の二大心霊スポットと言われていますが、自分的にはお化けペンションの方がヤバそうな気がしました。
噂通り、やはりお化けペンションは想像していた以上に恐ろしい場所でした。
そして後日、横向ロッジで撮影した動画を確認してみると、恐ろしいことに気がつきました。
なんと動画の所々に、明らかに人の声が入っていたのです…。
まずは最初にホテル全体を懐中電灯で照らしながら眺めていた時の辺りで、
うぉぉぉー
という男性の叫び声のようなものが入っており、更にホテルの玄関口に向かう階段を上がっている時の辺りで、はっきりと女性の声で
たすけて
というような声が入っていることに気がついたのです。
そして一番恐ろしかったのが、廃墟ホテルの内部を探索していた時のことです。
カメラを回しながら廃墟内を歩いていると、途中で上へと続く階段の左端の壁に、こっちへおいで→と書かれた落書きがあるのですが、その落書きをカメラで映した瞬間、女の子のような声で、
おいで
という声がはっきりと入っていたのです…。
それに気づいた瞬間、思わずゾッとしました。
なぜならこの横向ロッジには、子供の霊が出ると言われているからです。
(残念ながら動画は訳あって削除してしまったため、お見せすることができません。その理由は次回明らかになります)
そして次回、ついにもう一つの最恐スポット、お化けペンションに足を踏み入れることになるのですが、そこで史上最恐の恐怖体験をしてしまうことになるのです…。
次回の《福島最恐の二大心霊スポットへ… 猪苗代お化けペンション》編に続きます。