これは数年前に体験した話です。


当時自分等はシーサイドラインのどこかにあるという、真ホワイトハウスを探していました。


噂によるとその真ホワイトハウスは、海沿いのトンネルを抜けた先にあると言われていて、その廃墟は洋風のお城のような建物らしく、林に埋もれるように建っているそうなのです。

しかし噂には聞いているものの、中々信憑性のある話は無く、詳しい場所などの情報は無いのが現状です。


ところがある日何気なく地図を見ていた時、あることに気がついたのです。


それはシーサイドラインの角海浜付近に、よく見るとトンネルの表記がある事に気がついたのです。


しかもその先は行き止まりになっていて、道は途中で途切れているようでした。


"真ホワイトハウスは海沿いのトンネルを抜けた先にある"


その事を思い出した自分は、


自分『もしかするとここの事なのかな?』


と怪しいと思い、気になった自分は友人ら(AとD君)と一緒に確かめに行くことにしました。



シーサイドラインを角田浜から五ケ浜方面へと車を走らせ、途中左折してガード下の小さなトンネルを潜っていき、廃道のように荒れた道を暫く進んで行きました。

(当時は立入禁止の鉄柵はなく、車で通行できました)


そして暫く海岸沿いの道を進んで行くと、前方に入り口の封鎖された不気味なトンネルが姿を現しました。


車を降りて早速確認してみると、トンネルの入口は頑丈な鉄柵で封鎖され、入れないようになっていました。


更にトンネルの周辺には『巻原発反対!』と書かれた看板が幾つか立て掛けてありました。


自分『なんだこれ?』


と不思議に思っていると、なにやら釣竿とバケツを持った男性二人組が話しながら歩いてきました。

どうやらここは釣りのスポットらしく、釣り人の姿も何人かいました。


D君『これかなり頑丈に封鎖されてますね…。南京錠🔐で鍵かかってますよ…』



自分『ホントだ。じゃあここから先はもう行けないかな…。』


どうやらこれ以上先へは行けそうになかったので諦めようとしていると、鉄柵の脇に誰かが取り付けたような手作りの『縄梯子』が取り付けてあるのに気がつきました。


D君『あれ?これ使えば上がって行けそうじゃん💡』


自分『本当だ。多分これ釣り人の誰かが作ったのかもね(笑)』


A『でもこれさ、結構高さあるしちょっと危なくない?😅』


自分『気をつけながら上がれば多分大丈夫だよ(笑)』


怪我をしないよう、1人づつ順番に縄梯子を上って鉄柵を乗り越え、何とか真っ暗なトンネルの内部へと入って行きました。


トンネル内はまだ日中にも関わらず、真っ暗で少し不気味な感じがしました。

A『このトンネル、ちょっと不気味な感じするよねガーン

自分『うんわかる。しかも手彫りだしね…』

しかしトンネルの距離は以外にも短く、あっという間に出口に出てきました。

不気味なトンネルを抜けると、行く先にはまたしても荒れ果てた廃道のような道が続いていました。


ガードレールは錆びて傾き、アスファルトの路面は草茫々。

何かありそうな怪しさは増していきます…。

予想が正しければこの奥に問題の真ホワイトハウスが存在するはずです。


期待に胸を膨らませながら暫く荒れ果てた道を歩いて行くと、前方に白っぽい大きな建物が見えてきました。


自分『あっ!何か建物がある!もしかしてあれのことかな?』


そう思いなおも近づいてみると、その白っぽい建物には螺旋階段があり、パッと見展望台?のような感じがしました。

しかしよく見てみると、壁にあるプレートに『河海工管理水門』と記載されており、どうやら水門を管理する施設らしく廃墟ではないようでした。


D君『これ廃墟じゃないみたいすね(笑)』


自分『そうみたいだね。やっぱりここも違ったのか…』


辺りを見回してみましたが、廃墟のようなものはどこにも見当たりません。


やはり真ホワイトハウスは見つからず残念に思いましたが、ふと近くにあるトンネルに目がいきました。


気になったので近づいてみると、『新々樋曽山隧道』と書かれており、入り口は鉄柵で封鎖されていました。

どうやら日本海へ水を流す放水用の水路トンネルらしく、内部は真っ暗で先が見えず、奥からは水が流れてくるような大きな音が聞こえてきました。


バシャー!ザザー…


A『これヤバイね。もし今トンネルの奥から水が流れてきたら…』


自分『確かに怖いねガーン


そしてこの新々トンネルのすぐ隣に、もう一つコンクリートで完全に塞がれた『樋曽山隧道』と書かれたトンネルも隣にありました。


どうやらこれも昔の水路トンネルらしく、先ほど鉄柵で封鎖されていた方は一番新しい現役のトンネルのようでした。


その後は堤防で海を眺めたり暫く周辺を探索し、日も暮れてきたのでそろそろ帰ろうということになり、来た道を引き返しました。


すると帰る途中、先ほど抜けてきた不気味なトンネルまで戻って来ました。

車まで戻るには、もう一度このトンネルを抜けなければなりません。

日も傾き始め真っ暗になったトンネルは、行きに来た時よりもより一層雰囲気が増していました。


しかも先ほどまでは釣り人も何人かいたのですが、今は人一人の姿もありません。


自分『うわ、このトンネルさっきよりもめちゃ雰囲気あるじゃん…不安


A『うん…さっきよりヤバい感じするね…。』


しかし特に何事もなく無事にトンネルを抜け、先程上ってきた鉄柵を乗り越えました。


そして車に戻ろうとしていた時の事です。


自分『あれ?あそこの所、誰かいない?』


よく見てみると、浜辺のところに人影のようなものが見えました。


自分『ねえ、あれってなんか人影に見えない?』


D君『えっ?本当だ…。でもあれって看板か何かじゃないすか?』


確かにその人影のようなものは、立て看板のようにも見えました。

ですがそれは、何度見直しても明らかに人の姿に見えるのです。


しかしすっかり日も暮れ、薄暗いこの時間帯に1人でいるのも少し違和感を覚えました。


それはまるで、着物を着た女性の姿に見えるのです。


その着物姿の女性らしき人物は、こちらに背を向けて暗い海の方向一点を眺め、全く微動だにしないのです。


暫く様子を伺い、懐中電灯で何度もチカチカ照らしてみますが、相変わらず微動だにせず…。

仮に人だったとするならば、さすがに何度も懐中電灯でチカチカ照らされたら1度くらいは振り返るはずです。


しかしその着物姿の女性はじっと暗い海を眺め、全く動くことがないのです…。


それはまるで生気がないような…。


気味の悪くなってきた自分らは、逃げるようにその場を離れました。


果たしてあれは一体なんだったのか?

看板か人か、それともやはり幽霊か…。


結局この日も真ホワイトハウスは見つからず、収穫なしに終わりました。



そして後日、あの角海浜について調べてみると、とても興味深い事実を知ることになったのです。


それはあの角海浜では昔、角海村という小さな漁村があったそうで、男性は漁業、女性は毒消し売りをして生計を立てていたそうです。

江戸時代には既に集落が形成されていましたが、この地特有のマクリダシと言われる、海岸の土砂ごと波に持っていかれる現象が数十年に一度起こっていたそうです。

海底の地形の関係で起こる、かなり局地的で稀な現象のようです。

このため度々家屋や土地が失われ、1600年代と比べると600m以上も土地が削られているそうです。

徐々に住民が減り、一桁台まで落ち込んだ1971年に、東北電力による巻原子力発電所建設計画が持ち上がります。

1974年に最後の住民が立ち退きましたが、地元の原発反対派の力が推進派を上回り、2003年に巻原子力発電所建設を断念しています。

ここ一帯が東北電力の土地であるのは、こうした経緯があるためのようです。


そして調べていく中で更に驚いたのは、なんとその毒消し売りの女性は、白い着物姿だったそうです。


その事実を知った自分は思わずゾッとしました。


あの時に海辺で見たあの人影は、白い着物を着ているように見えたからです。



まさかあの時、自分らが見てしまったものは…滝汗



それから暫くして、もう一度あの角海浜を訪れましたが、やはりその場所には


看板などと見間違えるようなものはどこにもありませんでした。


やはりあの時自分らが見たものは、かつて角海村で毒消し売りをしていた女の幽霊だったのかも知れません…。

そう思うと、未だにゾッとしてしまう時があります。


ちなみに途中にあったあの不気味なトンネルは、角海浜隧道というらしく、釣り人達の間では有名な心霊スポットだったことがわかりました。


この角海浜については再探索した時のレポートもいずれ公開を予定しているので、どうか楽しみにしていて下さい!


それでは次回の【シーサイドの七不思議 その⑩ 真ホワイトハウスを探して 弥彦山編】でお会いしましょう👋