これは数年前、いつもの友人達(A、B)と一緒に阿賀野市(旧笹神村)にある、『やまびこ通り』という、地元では有名な心霊スポットに行った時の話です。

このやまびこ通りは、阿賀野市に住む従兄弟から聞いた情報で、噂では夜にこの峠を車で走らせていると、突然目の前に一人の老婆が歩いていて、不思議に思いながらもすれ違い、サイドミラーで後ろを見ると、いつの間にかその老婆の姿は無く、消えているという話でした。

早速夜に、そのやまびこ通りに向かいました。
しかし、五頭山付近にあるという事はわかっているのですが、詳しい場所がわかりませんでした。
とりあえず、国道290号線をひたすら走り、それっぽい道を探しました。
すると暫くして国道の右側に、やまびこ通りと書かれた大きな看板を発見しました。


あったここだ!


その看板の示す方向に曲がり、真っ暗な峠道に入りました。

峠道に入って少し行った所に、駐車場とトイレがありました。
近づいてみると、そのトイレは薄暗くどこか不気味な感じがしました。
駐車場には車1台停まっていません。


なんかこのトイレ、ちょっと怖いな


確かに


しかしこれといって特に変わった様子は無かったので、再び車を走らせました。


暫く車を走らせていると、突然道沿いの端に、何か文字が書かれた石碑が建ち並んでいました。
暗い夜道に見るその石碑は、かなり不気味でした。


なんだこれ?墓(慰霊碑)?


気味悪いな…


しかしよく見ると、その石碑はどうやら俳句(句碑や歌碑)のようなものが書かれていました。

不気味に思いながらも走っていると、


突然、前方に黒い人影のようなものが一瞬見えました。
それは車のヘッドライトに照らされた石碑に反射して、ほんの一瞬、黒い人影が確かに見えたのです。


うわっ!今なんか見えたかも


と自分が言うと、


うそ?マジで?


とBが半信半疑にそう言いました。


実はBは、昔からこういう話(幽霊)は全く信じていないタイプでした。


暗い峠道を暫く走っていると、いきなり運転するBが車を停めました。


あれ?


どうしたのかと不思議に思っていると、



ビーッ!ビーッ!ビーッ!



と、運転手のBが突然、クラクションを鳴らしました。
どうやら少し悪ふざけをしているようです。



ビックリした、どうしたの?


幽霊出ないかなーと思ってw


恐い事するなー



と自分もそう言いながらも、車から降りては写真を撮ったりしていました。


その後もBは2、3回ほどクラクションを鳴らしながら車を走らせました。

《そしてこの自分とBの軽はずみの行動が災いし、後に恐怖のドライブへと変わることになるのです。》


峠道は以外と長く、一行に出口らしきものが見えません。


結構長いなこの峠


そうだね


そんな話をしていた時、いきなりそれは起きました。



ガーッガーッ…



なんと突然、
自分の座っている後部座席のリアドアガラスが勝手に上下に動いたのです(°Д°)


え?なんで勝手に動いたんだ?


と不思議に思っていると、



ガーッガーッガーッ



またしてもリアドアガラスが勝手に動きました。


そしてこの時、運転手のBがイタズラして怖がらせるためにわざとやっているのだろうと思いました。
(車の運転席は、全座席のドアガラスやロックを操作する事ができます。)


B、もしかしてわざとやった?


とBに聞いてみると、


いや、なにもやってないよ


と言いました。
この時、車のエンジンは掛かっていました。


怖くなってきたので早く出口に向おうと、車を走らせました。


そして峠の途中に、不気味な石碑と休憩所?のようなものがあったので、自分だけ車を降りて写真を少しだけ撮りました。


↑不気味な俳句の書かれた石碑。じつはこの写真、よく見ると真ん中にある石碑の右下に、人の顔らしきものが写っていた。



↑問題の箇所を拡大。明らかに人の顔らしきものが写っているように見える。



↑休憩所。



写真を撮り終わり、車に戻った瞬間、



ガーッガーッガーッガーッ



なんと、またしてもリアドアガラスが勝手に上下に動いたのです!!(°Д°)(°Д°)

しかも先程よりも速いスピードで…。

それはまるで、写真を撮っている自分に反応するかのように…。


怖かったのですが、さすがにイタズラだろうと思い、Bに聞いてみると、


いや!俺マジでやってないよ!だって今、エンジン切ってるし…


それを聞いた瞬間、確実にヤバイと思い、すぐに車を発進させました。


しかしこの峠道ははじめてきた場所だったので、この道が一体どこまで続いているのか検討もつきません。

早くこの峠から抜けたい(逃げたい)一心で、ひたすら暗闇の峠道を走り続けました。

しかも恐ろしい事に、自分が座る後部座席の隣のドアの辺りから、


カチッカチッカチッカチッ…


という謎の音がずっと鳴っていました。 
この時、恐怖のあまり手が少し震えていて、この場所に来てしまった事を後悔していました。


頼む!早く出口に着いてくれ!


祈るような気持ちでいました。
他の友人らも自分と同じ気持ちだったのか、皆黙りこんでいました。






そして数分後、恐怖に耐えながらも、なんとか無事に出口の温泉街までたどり着きました。

ここは人気もあるので少し気が楽になり、ホットしていました。



やっと着いたね…



なんとか生きて帰ってきたな



と、安心したのもつかの間、



なんと恐ろしい事に、自分の座る後部座席の隣で鳴っていた謎の音は、なおも止むことなく鳴り続けていました。



うわっ、これ何の音?さっきからずっと鳴ってるんだけど…



後部座席にいた自分が一番怖がっていました。


そしてその謎の音は暫く鳴り続き、五泉市の市街地辺りまで来ると、いつの間にかその音はしなくなっていました。



まさか、(霊が)憑いてきたのか?



と思い、まるで隣の座席に何かがいるような感じがしていました。


しかもBの話だと、ずっと鳴っていたあの音は、後部座席のドアにあるリアドアガラスのスイッチが、ものすごい早さでカチカチ鳴り、少しずつ窓が開いていくのを見たそうです。



どうせそんなに大した事ないだろうと、軽い気持ちで行った心霊スポットで、まさかこんなに恐ろしい体験をしてしまうとわ…。
この時、自分もBもかなり反省していました。


もう2度とあそこには行きたくない。
そう思っていたのですが、この数年後、ある友人との出会いにより、再びこの峠に行くことになってしまうのです…。