小学生の頃のソウルフードは何かと聞かれたら即答で「駄菓子」と答える。私の近所には3つの駄菓子屋があり、場所によって居心地に差があった。一番居心地のよかった場所は今もまだ健在で、もう一つは家が建ち閉店、最後の一店は店主がプロボウラーを志してやめた。嘘みたいな話だが本当である。

   当時は暇があったら駄菓子屋に行き、二桁の数字で構成する計算式を頭に浮かべながらオリジナルのセットリストを組んでいく。この工程が非常に楽しい。どうやら小学生の頃からバンドマンの要素をチラつかせ、10年以上も前からセットリストを組んでいたらしい。そう考えると駄菓子屋では色んなライブをした。10円のもので当たりを出してから持ち金以上の駄菓子を得るセトリ、シンプルにクジを楽しむセトリなど、舌の数だけ駄菓子屋のセットリストはあった。結果的にはその人だけの定番セットリストが生まれ、日によって1曲だけ変更されたりするのである。

   大人になってから駄菓子を食べる機会は圧倒的に減り、子供の頃に崇めていた駄菓子は名の通りの値打ちのない味に感じる。しかし当時のセットリストは、微かに記憶の中に残っている。駄菓子屋でライブをしていた人間が10数年経った今、バンドを始め、12/30に恵比寿LIQUIDROOMでセットリストを組む。駄菓子も無駄じゃない。みんな記憶に鮮明に残る駄菓子屋もありだと私は思う。