欧州で起きたテロとしては2004年3月に約190人が死亡したマドリード列車同時爆破テロ以来、最悪の惨事となった。ノルウェー国王のハラルド5世らは23日、ウトヤ島の対岸を訪れ、犠牲者の家族を慰めた。死者の多くは10代の少年少女とみられている。
現地からの報道によると男はアンネシュ・ブレイビク容疑者。2人が銃を乱射していたと証言する目撃者もおり、警察は他に共犯者がいる疑いもあるとみて調べている。同容疑者は爆弾の材料に使える化学肥料6トンを購入していた。
同容疑者は20歳代後半から右翼過激派団体に参加しており、警察は同容疑者について「極右とつながりのあるキリスト教原理主義者」と発表している。
ソーシャル・ネットワークキング・サービス(SNS)「フェイスブック」に同容疑者は狩猟、保守主義、フリーメーソンの理念への興味を記入。ネット上の討論で異民族が互いの文化や慣習を尊重しながら共存する多文化主義に激しく反論していたという。
ノルウェー国内ではイスラム系難民が増えたことから反移民政策を支持する意見が次第に広がっている。
1979年から毎年、ウトヤ島での青年部集会に参加している同首相は23日朝記者会見し、「若者のパラダイスが地獄と化した。第二次大戦以来の国家的悲劇だ」と悲しみを表明した。
警察の発表などによると、同容疑者はオスロで爆弾テロを起こした後、ウトヤ島に移動。労働党青年部の集会が開かれていたキャンプ場で警官を装って若者を集めて短銃やショットガン、自動火器を乱射した。若者は逃げまどい、湖に飛び込む人もいたが、同容疑者はとどめの2発目を頭に撃ち込む残酷さを見せたという。現場から使用前の爆弾が見つかった。
ノルウェー政府はオスロ市内に軍兵士を派遣、市民に市中心部から避難するよう呼び掛けた。