公安調査庁は18日午前、団体規制法に基づき、オウム真理教関連施設計11か所で一斉に立ち入り検査を開始した。

 東京高裁が3月27日に麻原彰晃こと松本智津夫被告(51)の控訴棄却を決定し、死刑確定の公算が大きくなったことを受けた初の検査。教団内で不穏な動きがないかどうかを調べるとみられる。

 検査対象は、北海道、東京都、大阪府、宮城、神奈川、愛知、滋賀、徳島、福岡各県の計11施設。2004年2月の松本被告の1審判決前の検査に並ぶ過去最大規模で、調査官約160人が動員された。教団本部のある東京都世田谷区の「南烏山施設」では午前7時50分から検査が行われた。

 公安庁によると、教団内部では、「脱麻原」路線を進める上祐史浩代表(43)派と、「麻原回帰」の傾向が強い反上祐派が対立しているという。

 公安審査委員会は今年1月、松本被告の存在が教団に絶対的な影響力を持ち、再び教団が無差別大量殺人を起こす危険性があるとして、団体規制法に基づく観察処分の2度目の更新を決定している。