オウム真理教の松本智津夫被告(51)が心身に異常を来しているのに東京拘置所が治療を怠ったなどとして、松本被告の二女と三女が国を相手取り、損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、東京地裁であった。

 永野厚郎裁判長は、「治療の必要性がないとの東京拘置所の判断に、不合理な点はない」と述べ、二女らの請求を棄却した。

 判決は、松本被告の精神状況について「自ら言葉を発しないなど特異な状況が見られるが、定期検査や診察で異常な所見はないと診断されている」と指摘した。

 二女らは「東京高裁は、治療が必要にもかかわらず、刑事裁判の手続きを進めた」とも主張したが、判決は「主張自体が不当」と退けた。

 また、二女らは、接見の際に拘置所の職員が途中で接見を打ち切ったなどと接見妨害も主張したが、判決は「限られた時間の中で円滑な接見を実施するためにはやむを得ない」と述べた。