東京高裁(須田賢裁判長)は25日、オウム真理教の松本智津夫死刑囚(51)の控訴審の主任弁護人を務めた松下明夫弁護士(仙台弁護士会)と、松井武弁護士(第2東京弁護士会)について、「審理の迅速な進行を妨害した」として、日本弁護士連合会(日弁連)に両弁護士の処分を求める「処置請求」を行った。裁判所が弁護士会に弁護士の処分を請求するのは17年ぶり。

 東京高裁の通知書によると、両弁護士は、当初2005年1月11日だった控訴趣意書の提出期限の延長を申し立て、同年8月31日まで延長を認められたにもかかわらず、期限最終日に、持参した控訴趣意書を提出せずに持ち帰った。

 この結果、同高裁は今年3月、控訴棄却を決定。最高裁への特別抗告も認められず、今月15日、松本死刑囚の刑が確定した。

 通知書は、期限日に趣意書を持参しながら、鑑定方法などの要望を受け入れなければ提出しないと迫ったことについて、「法曹に許されない一種の実力行使で、死刑判決を受けた被告の裁判を受ける権利を奪い、極めて重大な職責違反を犯した」と指摘した。