イギリスの大地は果てしなく平たい。


 着陸前の機上から、 窓外を見て思った。


 これが日本なら、 山、谷、川、山山。 


 そしてまた山川と、 凸凹デコボコ、 

黒いほどの濃い緑、 

流れる水に埋め尽くされていたはずだ。 


 または、 その隙間に入り込んだ雲に隠されて、

 詳細が見えなくなっているとか。 


 ...平たい土地では。

 雲すら平たく浮かんでいるのだと、

 行儀良く並んでいるそれらを見て、

 日本の自然の荒々しさを思う。  


 厚い雲、  

 その縦横無尽な動き、


  そして、 

 そこから生み出される水、水、水。 


 国土と人の生き方は、 

当然、 密接に関係しているのだとは思うが、 

果たして、 平たい国と山国では、 

その有り様の、 どこがどう違うのか。


 当然だが、 たった数日、 

滞在したくらいではわからないだろう。 


 ただ、巨大な石造りの建物群は、 

一切、 それが崩れる日を想像していない、

 確固たる自信に満ち溢れた威容ではあった。


 日本語においては、 

喜びや困難に行き当たる、 

人生のこもごもを、 

『山あり谷あり』というが。


 ...いったい平たいこの国では、 

それをどう表現するのだろう。 


 どこでも、 行ってみないと。 


 来てみないとわからない。 

 平たい大地に抱く思いと共に。 

 思ったより、

 ずっとずっと便利で親切な、

 ロンドンの地下鉄と、 

『不味い不味い』 と聞かされていながらも、

 実は不味いモノには、 

ひとつも出会わなかった、 この旅で。


 あらためてそう思った。