全国郵便局長会ピリピリ 総務相VS.日本郵政、深まる対立 (産経新聞) 05月18日 08:05 2009年5月18日(月)08:05  ■集票力に照準、与野党綱引き  日本郵政の西川善文社長の再任をめぐり、鳩山邦夫総務相との対立が深まる中、全国郵便局長会総会が17日、千葉市の幕張メッセで開かれた。来賓席に並んだ西川、鳩山両氏は目も合わせないピリピリしたムード。自民党有数の「集票マシン」として知られてきた郵便局長会だが、西川氏が進める民営化路線への反対は根強く、その票の行方をめぐり与野党の綱引きは続く。郵政民営化から1年半。その道のりはなお険しい。(酒井充)  「かんぽの宿の譲渡問題ではメチャメチャなことが平気で行われていた。郵政文化を邪魔するものとは正義感を持って戦い抜く」  先にあいさつに立った鳩山氏は総務省が用意した原稿を読むのを途中でやめ、西川氏が進めた「かんぽの宿」のオリックスグループ譲渡問題を徹底批判。壇上から「真剣に取り組んでもらいたい」と後方の西川氏をにらみつけた。  一方、西川氏も強気を崩さなかった。「日本郵政のサービスは既存の民間企業の後追いがほとんど。まだまだ物足りない」と郵便局に残る“お役所気質”を手厳しく批判。「私自身が責任をもってグループ全社を挙げて改革の推進に取り組んでいく」と述べ、続投を宣言した。  「かんぽの宿」問題で鳩山、西川両氏の確執は決定的となった。鳩山氏は6月末の株主総会を前に「西川降ろし」に奔走したが、自民党内の混乱を恐れた元総務相の菅義偉(すがよしひで)選対副委員長らに阻まれ、孤立化していった。日本郵政は今週初めにも役員人事を内定する指名委員会を開く予定で西川氏の再任は既定路線化しつつある。  実は鳩山氏は郵便局長会総会までに西川氏の自発的な辞任を取り付けたいとの思いがあったようだ。鳩山氏があいさつ後早々に退席したのは無念さの表れともいえる。  郵便局長会の集票力は数十万票といわれ、まだまだ衰えていない。日本郵政を舞台にした政府・与党の内紛に乗じるように野党幹部らは次々に会場に駆けつけた。  民主党の鳩山由紀夫新代表は「政権交代には皆さんの多大な支援が不可欠だ。力を貸してください」と深々とおじぎ。国民新党の綿貫民輔代表は「西川氏が起こしたかんぽの宿問題は消しゴムでは消せない。私たちは運命共同体だ」、新党大地の鈴木宗男代表は「西川氏には心がない。ぜひ郵政民営化を見直したい」と気勢を上げた。  会場の郵便局長約1万人は、綿貫氏らには盛大な拍手を送り、民営化への抵抗の根深さをうかがわせた。  だが、西川氏が再任されれば、今後も改革路線が続くことは確実。次期衆院選をにらみ、郵便局長は集票力をバックに与野党への圧力をますます強めることは間違いない。郵政民営化を政争から切り離すことは当分できそうにない。 全国郵便局長会ホームページ ZENTOKU ONLINE 役員略歴:西川 善文 (日本郵政)  (産経新聞) 05月18日 08:05