ゆうりんは妄想族

ゆうりんは妄想族

妄想族ですが、妄想ネタはほぼ皆無なブログです☆


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「今だから白状する。俺は・・・ハヤテ達につまらない嫉妬をした」


「え?」


「お前が俺のいうことを聞かず、アイツらと楽しそうに遊んでたから・・・。つい、腹が立って、一人で散歩に出て・・・」


「・・・・・・」


「そこで水面にキラキラ光るモノを見つけ、お宝だと思って覗き込んだら、人魚に呪いをかけられちまった。俺としたことが情けねぇ」


「シンさん?」


「呪いが解けた後、〇〇がいないことに気付いた時…なぜ俺は〇〇と離れてしまったのかと後悔した…つまらない嫉妬のせいで…」


そこにいるのは、いつもの大人で博識で冷静沈着な航海士ではなかった。


愛する女を奪われまいとするひとりの男の顔。


「私も、シンさんがいなくなった時、どうしてシンさんと離れてしまったのかってすごく後悔しました。…初めからいっしょにいれば、こんなことにはならなかったのにって。」

そして、〇〇はシンの手をぎゅっと握り返していつものようににっこり笑うとこう言った。

「これからはずっとシンさんと一緒にいます!!」


そんなふうに自分の感情を素直に口に出す、〇〇を見つめるシンの顔からは、シン本人が隠そうとしても隠しきれない、愛おしいという感情が溢れ出ている。


「じゃ、これからは綺麗な島を訪れてもみんなと水浴びはできないぞ」

「ぐっ…が、我慢します…。ってそうじゃなくて、シンさんもみんなと一緒に遊びましょ?」

「フン。海賊が水遊びだなんて、バカか、お前は。何度も同じこと言わせるな」

「いいじゃないですか!みんなと一緒ですよ!」


「チッ・・・調子に乗るな」


やっとシンらしい表情が戻った。


(フン。俺はみんなといっしょにいたいんじゃない。俺は〇〇と一緒にいたいんだ)




シンは〇〇の体を優しく抱きしめる。

「俺はもう二度とお前を離さない。だから〇〇も俺から絶対に離れるなよ。返事は?」

「はいっ!」

「さすが俺の忠犬だな。いい返事だ。」

満足そうにシンは微笑む。




「愛してる。〇〇」







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シンだ。

航海室から見える満月の光をうけて、わずかに見える人魚の島を見ながらこの手紙を書いている。

俺にとって、この島での出来事はいい意味でも悪い意味でも忘れることはできないだろう。

たとえ呪いのせいだとしても、俺が〇〇に向かって引き金を引いてしまったことは事実だ。


それは重く受け止めている。本当にすまなかった。


〇〇が女王に殺されるかもしれないと知った時、俺は柄にもなく理性を失った。
この俺がだ。


今更〇〇がいなくなることなど想像できない。


恐ろしすぎて想像を絶する…という表現しか浮かばない。想像することすらも拒絶してしまう。


こんなこと、〇〇の前ではあまり言わないかもしれないが、それほど俺の中で〇〇の存在は大きい。


もう二度と愛する人を失いたくない。





振り返れば、〇〇がこの船に迷い込んでからなんだかんだ言って俺たちは一緒だったな。

離れ離れになって〇〇はどう思った?


俺は自分の体の半分をどこかに置き忘れたような、変な気分だった。


こんな思いは初めてのことだが、離れたくないと思った。




〇〇


お前はいつも俺のそばにいろ。これは命令だ。〇〇は生きて、ただずっと俺のそばにいてくれるだけでいい。



永遠に 共にいよう。







end.



ゆっくりと重い瞼を上げる。


目に飛び込んできたのは、心配そうに覗きこむシンの顔。


「シンさん・・・」


「〇〇!よかった・・・」


シンにきつく抱きしめられる。


〇〇は今までの出来事を思い出していた。


疼くような痛みと、シンを取り戻せた喜びと。


複雑な想いが全身を駆け巡っていく。





「待ってろ、今すぐドクターを呼んでくる」


見たこともないシンの焦りの表情に〇〇、はクスッと笑った。







「悪かったな・・・怖い思いをさせた。すまない」


「ううん。もう大丈夫です。でも・・・正直やっぱり、ちょっとショックでした。あの・・・なんていうか…人魚と一緒の・・・」


人魚達に囲まれたシンを思い出すと胸がズキッと痛む。


シンに向けられた銃口や銃弾より、それは確実に〇〇を痛めつけた。


「不安でした。シンさんがもう戻って来ないんじゃないかって。それが辛くて辛くて」


「本当にすまない」


シンの腕に抱かれ、優しく髪を撫でられて。


少しずつ辛さや悲しみを吐き出していく〇〇。


その言葉ひとつひとつを、シンはしっかり受け止め謝ってくれた。


「その上、俺はお前に銃を向け、撃った。怪我までさせちまった・・・」


「ううん、かすり傷だから大丈夫・・・」


シンの指が〇〇の顔の絆創膏に触れた。


「男として責任はとるからな」


「・・・シンさん」


〇〇の顔に、唇に、シンの優しいキスが降り注ぐ。





そして、指と指の間を縫うようにシンが〇〇の手を握ってくる。

(こ、これって恋人つなぎ…ってやつだよね。)

〇〇は急に顔を赤らめて俯いた。

すると、シンが考えをめぐらせながらゆっくりと話し出した。



手分けして〇○を捜す船員達。



「〇〇!!」


シンは岩肌に似せた隠し扉を見つけ、開けてみた。


そこは女王の部屋。


その真ん中に、真珠色に光る棺が置いてある。


近づこうとした背中に、声が聞こえた。


「帰ってしまうの?」


それはシンにいきなりキスをして、水の中に引きずり込んだ人魚だった。


「・・・・・・」


シンはそれを無視し、棺に向かって歩く。


「ねぇ、待って。お願いだから」


「・・・・・・」


「あなたが好きなの。今まで3回しかあなたを見かけたことがないけれど、大きな船に乗ったあなたを初めて見た時から好きだった。2回目に見かけた時のあなたは舵を握っていた。3回目でやっとあなたをここに連れてこれたの」


「どんなに上半身の顔やスタイルが良くても、人間と魚の合体した怪物になど興味はない。邪魔だ、あっちに行け」


「そんなこと言わないで・・・」


「俺が愛してるのはこの世にたったひとり、〇〇だけだ」


「もしも…もしも私が人間になったら、私のことを愛してくれますか?」


「・・・・・・」


「その人じゃなく…私を…」


「これ以上邪魔をするなら、俺は容赦なくお前を撃つ。ただそれだけだ」


人魚の顔に暗い影が落ちる。

「…私も人間の血を浴びて人間の体を手に入れるわ…必ず…」


そうつぶやくと、人魚はどこかに消え去っていった。






シンが震える手で棺のふたを開ける。


そこには手を胸の上で組み、穏やかに微笑んでいる〇〇の顔。


「おい!〇〇っ。大丈夫か」

シンが〇〇の肩に手をかけてゆすってみると…


「むにゃむにゃ・・・」






「…あん?」


「ほよっ?シンさん・・・?」


うっすらと目を開け、シンを見てうれしそうな〇〇の緊張感のない反応。


どうやら睡眠薬で眠らされていたらしい。




そしてシンの腕の中で、もう一度、今度は安堵の眠りに落ちていった。