「今だから白状する。俺は・・・ハヤテ達につまらない嫉妬をした」
「え?」
「お前が俺のいうことを聞かず、アイツらと楽しそうに遊んでたから・・・。つい、腹が立って、一人で散歩に出て・・・」
「・・・・・・」
「そこで水面にキラキラ光るモノを見つけ、お宝だと思って覗き込んだら、人魚に呪いをかけられちまった。俺としたことが情けねぇ」
「シンさん?」
「呪いが解けた後、〇〇がいないことに気付いた時…なぜ俺は〇〇と離れてしまったのかと後悔した…つまらない嫉妬のせいで…」
そこにいるのは、いつもの大人で博識で冷静沈着な航海士ではなかった。
愛する女を奪われまいとするひとりの男の顔。
「私も、シンさんがいなくなった時、どうしてシンさんと離れてしまったのかってすごく後悔しました。…初めからいっしょにいれば、こんなことにはならなかったのにって。」
そして、〇〇はシンの手をぎゅっと握り返していつものようににっこり笑うとこう言った。
「これからはずっとシンさんと一緒にいます!!」
そんなふうに自分の感情を素直に口に出す、〇〇を見つめるシンの顔からは、シン本人が隠そうとしても隠しきれない、愛おしいという感情が溢れ出ている。
「じゃ、これからは綺麗な島を訪れてもみんなと水浴びはできないぞ」
「ぐっ…が、我慢します…。ってそうじゃなくて、シンさんもみんなと一緒に遊びましょ?」
「フン。海賊が水遊びだなんて、バカか、お前は。何度も同じこと言わせるな」
「いいじゃないですか!みんなと一緒ですよ!」
「チッ・・・調子に乗るな」
やっとシンらしい表情が戻った。
(フン。俺はみんなといっしょにいたいんじゃない。俺は〇〇と一緒にいたいんだ)
シンは〇〇の体を優しく抱きしめる。
「俺はもう二度とお前を離さない。だから〇〇も俺から絶対に離れるなよ。返事は?」
「はいっ!」
「さすが俺の忠犬だな。いい返事だ。」
満足そうにシンは微笑む。
「愛してる。〇〇」
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シンだ。
航海室から見える満月の光をうけて、わずかに見える人魚の島を見ながらこの手紙を書いている。
俺にとって、この島での出来事はいい意味でも悪い意味でも忘れることはできないだろう。
たとえ呪いのせいだとしても、俺が〇〇に向かって引き金を引いてしまったことは事実だ。
それは重く受け止めている。本当にすまなかった。
〇〇が女王に殺されるかもしれないと知った時、俺は柄にもなく理性を失った。この俺がだ。
今更〇〇がいなくなることなど想像できない。
恐ろしすぎて想像を絶する…という表現しか浮かばない。想像することすらも拒絶してしまう。
こんなこと、〇〇の前ではあまり言わないかもしれないが、それほど俺の中で〇〇の存在は大きい。
もう二度と愛する人を失いたくない。
振り返れば、〇〇がこの船に迷い込んでからなんだかんだ言って俺たちは一緒だったな。
離れ離れになって〇〇はどう思った?
俺は自分の体の半分をどこかに置き忘れたような、変な気分だった。
こんな思いは初めてのことだが、離れたくないと思った。
〇〇
お前はいつも俺のそばにいろ。これは命令だ。〇〇は生きて、ただずっと俺のそばにいてくれるだけでいい。
永遠に 共にいよう。
end.
