「年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活」
(小林美希著 講談社現代新書)
年収443万円、これが今の日本の平均年収とのこと。
ですが中央値はもう少し低く、3人に1人が「年収200万円~400万円」のようです。
本書では平均年収や平均年収以下の方々11人が、現実を赤裸々に語っています(中には世帯収入約1,500万円という方もいましたが…)。
平均年収443万円というタイトルですが、本書の「平均年収」のところに紹介されている方のうち、1番安い年収の人は520万円でした。
個人的には
「520万円もあれば十分じゃないか」
と感じたのですが、読んでいるとこの額でもそれ以上の額を稼いでる方でも、意外に生活はカツカツだとか。
現実には
子供の教育費
これがかなりのしかかっているようです。
国立の高校に進学させ、卒業したら就職してもらう。
以前ならそれで通用しましたが、現代社会では大学に行くのが当たり前。
そして高校でも大学でも私立に行くケースが圧倒的に増え、その場合の教育費はとんでもない額になります。
そのために日々、数年後の教育費のためにお金を貯めなくてはならず、平均年収やそれより少し高い額を稼いでも、苦しい生活を強いられているとのことです。
子供にお金がかかるのなら、産まなくてもいいかも…
という方が増えても仕方がない現実だと、痛感しました。
ここまでは平均年収がある方のケースで、ここからは平均年収以下のケースの話。
本書にも書かれているのですが、正社員以外のケースの平均年収は198万円とのこと。
この数字を見ると、さすがに
「この年収だと大変」
だと痛感します。
そういった状況の中、著者が取材したとある会社の決算説明会にて
当社は非正社員を増やすことで正社員比率を下げ、人件費を抑えて利益を出していきます
という発言があったとか。
著者も
「ちょっと、おかしくないか」
と感じたようです。
僕もおかしいと感じます。
非正社員を増やすということは、年収198万円の人を増やすという意味にも解釈できます。
平均年収を稼いでいる人でもカツカツの生活だというのに、この収入では…
本来なら払わなくてはいけないものも払えず、未来の日本社会に影響するのではないか。
結婚したくてもできず、少子化が進むのではないか。
そういった心配が先行してしまいます。
本書で紹介されているある男性のケースで、年収200万円の方が紹介されています。
婚活をしたそうですが、「男性が女性より低収入なら結婚しない率8割」という現実の前に、結婚を断念せざるを得なかったとか。
かわいそうです…
こういった話を聞くと
お金は男性が稼ぐものである
という古い風習を持っている女性がまだまだたくさんいるようですね。
女性は年収ゼロで結婚する人はたくさんいるのに。
「男女雇用機会均等法」や「性差別を無くす」という声が上がっても、上記のところが改善しないといけない、とも感じました。
まとめとして
かかりすぎる教育費を何とかしないといけない
非正社員率を増やしても、将来的によくない
ということを感じました。
ただ僕1人が言ってもどうしようもないことなので、思ったこととして残しておきます。
著者も言っていますが、今の社会はやはり
「ちょっとおかしい」
ですね。