「師弟 棋士たち魂の継承」
(野澤亘伸著 光文社)
本書では下記の師弟の物語が6組、収録されています。
なお巻末には羽生善治九段のインタビューも収録されています。
1 谷川浩司十七世名人 × 都成竜馬七段
2 森下卓九段 × 増田康宏七段
3 深浦康市九段 × 佐々木大地七段
4 森信雄七段 × 糸谷哲郎八段
5 石田和雄九段 × 佐々木勇気八段
6 杉本昌隆八段 × 藤井聡太竜王
収録されている6組、様々な物語となっていますが、個人的には「2」の森下九段と増田七段の話が印象深かったです。
増田少年は奨励会入会のため、森下九段を紹介されます。
そしてそのとき、森下九段は増田少年の素質を見抜き、大物になると予感します。
ただ、森下九段は精神論や根性論を強調する、
「将棋=人間の勝負」
ととらえる棋士。
そして増田七段は
「将棋=盤上の技術のみ」
と考える、現代風の棋士。
「矢倉は終わった」
「詰め将棋は意味がない」
という発言でも有名になりました。
そういった真逆な考えの師弟なので、その関係性も興味深かったです。
森下九段曰く
「増田七段は精神面を鍛えればもっと強くなれる」
とも語っています。
上記の話について、個人的には
精神論や根性論 少しは必要
矢倉 形は変わったが終わっていないと思う
詰め将棋 僕のような素人レベルには必要
と考えています。
ですが昔の内弟子制度に関しては不要ではないか、と感じます。
棋士の考え方については何冊も本を読んでいますが、その度に気づきを得られます。
個人的にはとても勉強になる1冊でした。