読書感想169 師弟(将棋・ノンフィクション) | フリスビーの読書感想

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「師弟 棋士たち魂の継承」

(野澤亘伸著 光文社)

 

本書では下記の師弟の物語が6組、収録されています。

なお巻末には羽生善治九段のインタビューも収録されています。

 

1 谷川浩司十七世名人 × 都成竜馬七段

2 森下卓九段 × 増田康宏七段

3 深浦康市九段 × 佐々木大地七段

4 森信雄七段 × 糸谷哲郎八段

5 石田和雄九段 × 佐々木勇気八段

6 杉本昌隆八段 × 藤井聡太竜王

 

収録されている6組、様々な物語となっていますが、個人的には「2」の森下九段と増田七段の話が印象深かったです。

 

増田少年は奨励会入会のため、森下九段を紹介されます。

そしてそのとき、森下九段は増田少年の素質を見抜き、大物になると予感します。

ただ、森下九段は精神論や根性論を強調する、

「将棋=人間の勝負」

ととらえる棋士。

そして増田七段は

「将棋=盤上の技術のみ」

と考える、現代風の棋士。

「矢倉は終わった」

「詰め将棋は意味がない」

という発言でも有名になりました。

そういった真逆な考えの師弟なので、その関係性も興味深かったです。

森下九段曰く

「増田七段は精神面を鍛えればもっと強くなれる」

とも語っています。

 

上記の話について、個人的には

 

精神論や根性論 少しは必要

矢倉 形は変わったが終わっていないと思う

詰め将棋 僕のような素人レベルには必要

 

と考えています。

ですが昔の内弟子制度に関しては不要ではないか、と感じます。

 

棋士の考え方については何冊も本を読んでいますが、その度に気づきを得られます。

個人的にはとても勉強になる1冊でした。