読書感想146 精神科医の本音(医療・ノンフィクション) | フリスビーの読書感想

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「精神科医の本音」

(益田祐介著 ソフトバンク新書)

 

本書には精神科医が書いた、精神科医の本音が書かれています。

「本音」シリーズでは医者、がん外科医と2冊の本が出版されていますが、今回は著者が違うので、また別物となっています。

 

精神科に関する話としては、

 

医者が変わると診断が変わる

 

というものがあります。

そのことについても書かれていました。

これについて、著者は否定をしていません。

ただこのことについては

 

1 患者に「症状をどこまで伝えるか」が、医師によって違うと変わることがある

2 「あとになって病気を発症した」ため、初めにはわからなかった場合は変わることがある

 

ということを挙げています。

病院には治療のガイドラインがあり、精神科にも例外なくそれがあるとのこと。

なのでそれを逸脱するような診察や治療はできない、とも書かれています。

精神科が扱うジャンルは目に見えない分野であり、そのあたりが難しいということも載っていました。

そういったことも踏まえて、悪意や利益を重視して、勝手に診断名をつけてしまう、ということはないようです。

 

ほかに印象的だったのは

 

心の病は脳の病気である

 

ということ。

一部ではトラウマなどは

「病気ではなく乗り越えなければいけない壁である」

と医者が言ったという話を聞いたことがありますが、そういった話は本書では上記の言葉で否定されています。

精神的な面で苦しんでいる人は甘えではなく、病気である。

その一行の言葉を読んで、ホッとした気持ちもありました。

 

現代社会は本当に心労がたまりやすい状況になっています。

それで心が疲れてしまったということは、脳が病気になってしまったということになります。

病気になったら、病院に行く。

それくらい気楽な気持ちになって、精神科に行けるような雰囲気になってほしい。

本書を読んで、改めてそう思いました。