「精神科医の本音」
(益田祐介著 ソフトバンク新書)
本書には精神科医が書いた、精神科医の本音が書かれています。
「本音」シリーズでは医者、がん外科医と2冊の本が出版されていますが、今回は著者が違うので、また別物となっています。
精神科に関する話としては、
医者が変わると診断が変わる
というものがあります。
そのことについても書かれていました。
これについて、著者は否定をしていません。
ただこのことについては
1 患者に「症状をどこまで伝えるか」が、医師によって違うと変わることがある
2 「あとになって病気を発症した」ため、初めにはわからなかった場合は変わることがある
ということを挙げています。
病院には治療のガイドラインがあり、精神科にも例外なくそれがあるとのこと。
なのでそれを逸脱するような診察や治療はできない、とも書かれています。
精神科が扱うジャンルは目に見えない分野であり、そのあたりが難しいということも載っていました。
そういったことも踏まえて、悪意や利益を重視して、勝手に診断名をつけてしまう、ということはないようです。
ほかに印象的だったのは
心の病は脳の病気である
ということ。
一部ではトラウマなどは
「病気ではなく乗り越えなければいけない壁である」
と医者が言ったという話を聞いたことがありますが、そういった話は本書では上記の言葉で否定されています。
精神的な面で苦しんでいる人は甘えではなく、病気である。
その一行の言葉を読んで、ホッとした気持ちもありました。
現代社会は本当に心労がたまりやすい状況になっています。
それで心が疲れてしまったということは、脳が病気になってしまったということになります。
病気になったら、病院に行く。
それくらい気楽な気持ちになって、精神科に行けるような雰囲気になってほしい。
本書を読んで、改めてそう思いました。