読書感想145 アイドルやめました(ノンフィクション) | フリスビーの読書感想

フリスビーの読書感想

実際に読んだ本の感想を中心に、ゲームネタ、将棋ネタ、競馬予想などを載せています。

「アイドル、やめました。 AKB48のセカンドキャリア」

(大木亜希子著 宝島SUGOI文庫)

 

アイドルの世界は、非常に華やかなもの。

歌やダンスだけではなく、女優やタレントとして活躍し、光を浴び続ける。

 

こういったイメージが強いアイドルですが、このコースを進めるアイドルはごく僅か。

アイドルは本当にたくさんいますが、ほとんどの人たちはひっそりと卒業し、そして一般社会に戻っていく。

本書では元SDN48の著者が、48グループを卒業していったメンバー(一部例外あり)を取材し、卒業後のキャリアなどを紹介した1冊となっています。

 

本書で登場するメンバーは、比較的最近の子が中心ということもあり、ほとんどの子は存在を知っていました。

中には選抜を経験し、エース候補として騒がれた子もいます。

 

本書でオーディションに合格した子たちが全員言っていたこと、それは

 

アイドルは大変である

 

ということ。

華やかな舞台とは裏腹に、様々な面でハードで体調を崩す子は多いとか。

美人だから売れるわけではない。

歌が上手いから売れるわけではない。

ダンスが上手だから売れるわけではない。

逆のケースで売れることもあり、メンバー自身が精神的に不安定になることが原因というケースも少なくないようです。

 

さらに加入時に中学生や高校生という子が多く、学業との両立に悩むケースはかなり多いです。

アイドルはバイトのような気楽な気持ちではできないだけに、勉強の時間も削られ、成績は下がる。

芸能界で成功が保証されているのなら学歴は関係ないですが、現実はそうではありません。

そうなると学業には手を抜けない。

話を聞いているだけで、深刻さを感じます。

 

そういった過酷さを経験し、そして辞めていった、本書に登場する子たち。

最後に

「アイドル時代に悔いはないか?芸能界に未練はないか?」

という質問が出てくるのですが、ほとんどの子が

「悔いはない。未練もない」

と言っています。

ただ、

「アイドルとして揉まれたぶん強くなり、社会でやっていける強さを身につけることができた」

とも言っています。

なので彼女たちにとっては、アイドル時代を経験したことはプラスになっているようです。

 

僕はAKBを見続けて結構経つので、大まかな制度などは知っています。

ただ当然ながら中に入った経験はないので、経験者の声というものは非常に参考になりました。

著者が元アイドルという点も、大きかったと思います。

 

現代社会は生きるのが大変だが、アイドルの世界も同じように生き残るのが大変である。

それを痛感した1冊でした。