「アイドル、やめました。 AKB48のセカンドキャリア」
(大木亜希子著 宝島SUGOI文庫)
アイドルの世界は、非常に華やかなもの。
歌やダンスだけではなく、女優やタレントとして活躍し、光を浴び続ける。
こういったイメージが強いアイドルですが、このコースを進めるアイドルはごく僅か。
アイドルは本当にたくさんいますが、ほとんどの人たちはひっそりと卒業し、そして一般社会に戻っていく。
本書では元SDN48の著者が、48グループを卒業していったメンバー(一部例外あり)を取材し、卒業後のキャリアなどを紹介した1冊となっています。
本書で登場するメンバーは、比較的最近の子が中心ということもあり、ほとんどの子は存在を知っていました。
中には選抜を経験し、エース候補として騒がれた子もいます。
本書でオーディションに合格した子たちが全員言っていたこと、それは
アイドルは大変である
ということ。
華やかな舞台とは裏腹に、様々な面でハードで体調を崩す子は多いとか。
美人だから売れるわけではない。
歌が上手いから売れるわけではない。
ダンスが上手だから売れるわけではない。
逆のケースで売れることもあり、メンバー自身が精神的に不安定になることが原因というケースも少なくないようです。
さらに加入時に中学生や高校生という子が多く、学業との両立に悩むケースはかなり多いです。
アイドルはバイトのような気楽な気持ちではできないだけに、勉強の時間も削られ、成績は下がる。
芸能界で成功が保証されているのなら学歴は関係ないですが、現実はそうではありません。
そうなると学業には手を抜けない。
話を聞いているだけで、深刻さを感じます。
そういった過酷さを経験し、そして辞めていった、本書に登場する子たち。
最後に
「アイドル時代に悔いはないか?芸能界に未練はないか?」
という質問が出てくるのですが、ほとんどの子が
「悔いはない。未練もない」
と言っています。
ただ、
「アイドルとして揉まれたぶん強くなり、社会でやっていける強さを身につけることができた」
とも言っています。
なので彼女たちにとっては、アイドル時代を経験したことはプラスになっているようです。
僕はAKBを見続けて結構経つので、大まかな制度などは知っています。
ただ当然ながら中に入った経験はないので、経験者の声というものは非常に参考になりました。
著者が元アイドルという点も、大きかったと思います。
現代社会は生きるのが大変だが、アイドルの世界も同じように生き残るのが大変である。
それを痛感した1冊でした。