「連続殺人鬼カエル男」
(中山七里著 宝島社文庫)
本書はとある高層マンションで、吊された遺体が発見されたところから始まります。
そこにはいかにも子供が書いたような平仮名の手紙も置いてあります。
その手紙は、カエルを捕まえてそのカエルに虐待を加えることが書かれており、そこに書かれた残虐な仕打ちを殺された遺体にも加えられています。
その後、似たような殺人事件が合わせて4件起こり、しかも被害者の接点はなし。
世間では無差別犯の犯人のことを「カエル男」と名付け、恐れられます。
警察も犯人が捕まえられず、警察を当てにできないと市民は、
「不安→恐怖→暴徒」
となり、しまいには警察に市民が襲ってくるという状況まで起こってしまいます。
このあたりは、人間は恐怖心がMAXになるとこうなるのか…
と、恐怖を感じたことを覚えています。
中山七里さんの作品は「さよならドビュッシー」以来、読んだのは2作目です。
前作では最後に見事などんでん返しを食らったので、今回も期待していました。
結果的には、犯人は逮捕されます。
そのときは、
「やっぱりこいつが犯人だったか」
と思ったのですが、その割にはページ数がまだ残っており、ちょっと怪しさを感じました。
それを感じながら読んでいたところ、やはりどんでん返し、やってきました。
「まさかこの人が真犯人…」
という状況に、本当に驚かされたというのが本音です。
そしてその人が逮捕され、話も終了間際になりました。
そこで終わっても普通に話は終了すると思ったのですが、まだ続きがあり、そこではあくまでも
「妄想の世界」
という課程での話ではありましたが、首謀者は別にいて、犯人はあくまでも操り人形である。
そこまで読んだときには、本当に
どんでん返し、見事に食らいました
という気持ちになり、圧倒されました。
話の中では
「妄想の世界」
ということになっていますが、恐らくそれが真相なのだろう…
と感じつつ、読み終えました。
「どんでん返しの帝王」
という異名がある、中山七里さん。
この人の作品、また読んでみたいですね。