この話は、僕が本来の自分を見つけて新しい人生を歩む話である

 

 

   2.不安と期待

 

  ”姉ちゃんの彼氏へのフワフワした気持ちは何だったんだろう?”

 

  そんな事を思いながら日々生活続けていた。

 

   「キーンコーンカーンコーン」 響き渡るチャイムの音。

 

  今日は、夏休み2日前で異様にチャイムの音が清々しく聞こえる。

 

  「まさる‼」

  透き通ったような高い声。

  この声の正体は、幼馴染の花音(かのん)だ。

 花音は裕福なっ育ちで頭もいい。それより、とってもキュートな女の子だ。

 

  「どうした?」

  と俺は聞き返す。

 

  「明日で夏休みになっちゃうね!」

  「夏休みは何するの?」

  と聞かれる。

 

  俺は特に何も考えてなかったし、何もする気になれなかったから

  「何も予定がないんだ」

  と答えた。

 

  すると花音が嬉しそうな表情で

  「一緒にセミナーを受けに行かない?」

  と聞かれた。

 

  あまり乗り気ではなかったが何も予定は無かったので付き合うことにした。

  「まぁ何もないからいいよ」

  と言うと

  

  予定表だけ渡して駆けていった。

 

 

 

 

待ちわびた夏休みがやってきた

 

 

  相変わらず俺はコツコツ宿題をして余った時間はグータラしてた。

 

  そんな何も変わらない夏休みの日、セミナーの日がやってきた。

 花音と待ち合わせをし、電車とバスを使いセミナー会場へ足を運んだ。

 

  この時言えなかったが俺は内向的だったので隣の町へ出るのは初めてだった。

 

  無事セミナー会場には着いた。会場までは徒歩だったのでかなり汗もかいた。

 母ちゃんからもらったジュース代で二人分の飲み物を買いセミナー会場へ日って行った。

 

  「はぁ~涼しいね~」

  この一言に尽きる。

 

  ここで俺は我に返る

 今日は何のセミナーかも知らずにここまで来てしまった。

 

  俺は聞いた。

  「花音、今日は何のセミナーなの?」

  

  花音は少し疲れた様子で答える

  「今日はLGBTに関するセミナーだよ」

 

  俺は思考が停止した

 ”LGBTってなに? 何の頭文字? 何か難しそうだ"

   というのがその時の率直な感想だった。

 

  花音は俺に優しく説明した。 

  「LGBTはね性についてのお話なんだ」

  「知っておくと良いってパパに言われたから少し勉強してたんだ」

 

  やはり花音はしっかり勉強しに来ていた。

 

  俺は何かも考えず、ただ花音に付いて来ただけだった。

 

 

  「それではセミナーを始めます」

  司会の男性の合図でセミナーがスタートした。

 

  簡単な挨拶から始まり講師の先生が話し始めた。

  「集まっていただきありがとうございます」

  「今日は該当する方もそうでない方も理解しあえる場にしたいとおもいます。」

  「自由に発言や雑談をしましょう」

 

   と言って講師の人が話始めた。

 

   堅苦しい雰囲気に疲れた身体も相まって眠くなってきていた。

 

   ところどころ寝てしまい約1時間のセミナーが終わりを迎えようとしていた。

  

   「ところで皆さんはご自分の性の認識ははっきりされてますか?」

   と講師の人が投げかけた。

 

   そんなのはわかりきっていると俺は真剣に受け止めなかった。

 

   「その性は子供の時から言われてきたからじゃないですか?」

   と続けて講師の人が質問した

  

   よく考えると

   ”「男なら強くあれ」「女なら家事くらいしろ」”

  と父ちゃんがよく言っていたのを思い出した。

 

   講師の人は続けざまに

   「自分の性を一から考え直してみてください」

   「そうすれば他人も思いやれる気持ちを持てるかもしれません」

   と言ってセミナーは終了した。

 

 

   セミナーが終わって花音に尋ねた。

   「花音はどうなの?」

 

   花音は答えた

   「私は女性としていきたいと思ってるし、男の人が好き」

   「でも、今回のを聞いて性って色々あっていいんだなって思った。」

   と答えた。

 

   すると花音は聞いてきた

   「優はどうなの?」

   

   ”「俺は男だ」”と頭の中では思った反面、心では矛盾を感じていた。

   

   花音の質問に答えられなかった俺は

   「俺には難しいや」

   と軽く流して話を終えた。

 

 

 

それから何も変わらない夏休みを過ごすはずだった俺の人生は

少しづつ進路を変えてくのであった。