あ「彩希〜今日は一緒に帰れるよぉ〜」

 

 

も「あちし金欠だから、マックでもいい?」

 

 

あ「えぇ〜、茂木はラブラブ彼女と帰んなよ

 

私最近忙しくて、全然彩希と帰れてなかったんだから」

 

 

も「残念でした〜〜

 

美音ちゃんは今日は生徒会のお仕事ですぅ〜」

 

 

ゆ「あっ、あのぉ~」

 

 

あ「はぁ?私は彩希とデートするの!」

 

 

も「やだ、やだ!一人で帰るなんか絶対嫌だ!

 

私寂しくて死んじゃう!!」

 

 

うさぎか!、と思わず突っ込んでしまうような

 

 

それはもう私にしてみればしょうもなすぎる小競り合い。

 

 

ゆ「あのぉ~、お二人さん?」

 

 

も、あ「何?!?!」

 

 

だけれど、

 

 

首がもげるくらいの勢いでこちらに顔を向けた彼女たちは

 

 

至って真剣なわけで、

 

 

これはもういくらなんでも、

 

 

今日はパス、なんて言えたもんじゃないと、

 

 

心の奥底、わかっていながらも、

 

 

彼女が頼んでくれたお願いを裏切るわけにも行かず、

 

 

そしてきっと少しの優越感が私をさらに後押しし、

 

 

ゆ「今日は大事な用事があるから、、、

 

一緒に帰れない、ごめん」

 

 

言い争っている彼女たちに恐る恐る割り込む。

 

 

あ「えぇ〜、久しぶりにデートできると思ったのに」

 

 

ゆ「ごめんって、この埋め合わせは今度必ずするから

 

その時は3人で一緒にマック行こう?」

 

 

ね?とぐずる彩奈を慰めながら、

 

 

私達は昇降口へと向かう。

 

 

も「で、大事な用事って?」

 

 

少なからず彩奈よりか茂木は察しがいいらしく、

 

 

そんなことを問われたら、

 

 

嘘をつくのがこの世で一番苦手と言っても過言ではない私が

 

 

二人を騙せるわけがないなと、素直に観念し、

 

 

ここはもう正直に、

 

 

ゆ「あぁ、うん、岡田さんのね、、

 

妹さんを保育園まで迎えに行くんだ」

 

 

も「は?」

 

 

あ「えっ?」

 

 

予想通りのリアクション。

 

 

あの岡田さんだよね?

 

 

なんてはてなを浮かべる友人たちに、

 

 

あぁやっぱりまだ、

 

 

私だけが知っている彼女を知られたくないな。

 

 

なんて欲張った考えをしてしまう。

 

 

も「てか、いつのまに?」

 

 

ゆ「最近、たまたま仲良くなって」

 

 

も「へぇ〜、でもなんかね、、」

 

 

あ「うん、わかる」

 

 

ゆ「えっ、なに?」

 

 

途端彼女たちは顔を見合わせた後、

 

 

私をじっと見つめたりして、

 

 

も「なんか、彩希に合いそうなタイプじゃないってか」

 

 

あ「どう見てもドがつきそうなほどの

 

堅物っていうか、、、」

 

 

ほんときっと悪意はないんだろうけど、

 

 

彼女たちのそれは本音。

 

 

ゆ「うん、だね、、」

 

 

でもこれが、

 

 

堅物な部分があることにはかわりはないんだけど、

 

 

堅物だけじゃない、ほんのちょっと、

 

 

いや、とんでもないくらい

 

 

素敵な部分もあったりするんだよって、

 

 

言ってしまいそうになる自分に、

 

 

ちょっとの背徳感と優越感。