ざわざわと騒がしい人々。

 

 

汗水流れ、歓喜の叫びが上がるここは

 

 

まさに音楽フェスってやつで、

 

 

も「あっちぃ~、けどやっべぇ〜」

 

 

あ「ね〜!テンション上がる〜」

 

 

お「私まで良かったの?」

 

 

と個性あふれる友人達に

 

 

まったり休日から引き剥がされ、

 

 

私は渋々家から出てきたのだった。

 

 

ゆ「だからヤダって言ったのに〜」

 

 

と額から滴る汗を拭きながら、

 

 

炎天下、ましてや

 

 

何千人もの熱気が頭をくらくらさせるこの状況に

 

 

ぶつくさ文句をぶつける。

 

 

も「いいじゃん今日くらいはさ!!」

 

 

あ「ほら、ゆいり!! 楽しも!!」

 

 

なんて脳天気な彼女たちに結果流されてしまうのがオチで

 

 

まぁいいや、せっかく来たし、楽しもう。

 

 

なんて矢先に

 

 

ゆ「なんでこんなことになるの〜」

 

 

と気がついたら叫んでしまいそうになるくらい。

 

 

人の波に揉まれ、いつの間にかたどり着いた、

 

 

誰かもわからない、それはアーティストのステージ。

 

 

私は大きくため息を吐く。

 

 

茂木も彩奈もおんちゃんも見当たらないし、

 

 

連絡してみても、楽しんでいるのか返ってくる様子がない。

 

 

ゆ「ほんっと、あいつら、、

 

合流したら一発殴り入れてやる」

 

 

なんて日陰に入り、独り言を零す私。

 

 

随分と気温が上がってきたこの頃、

 

 

フェスだし、半袖短パンでしょ、

 

 

なんて思い切ったことに後悔する。

 

 

ゆ「絶対真っ黒になるやつじゃん」

 

 

やって来てまだ小一時間しか立っていないというのに

 

 

信じられないほどの疲労感に私は近場のベンチに座り込むと、

 

 

”うっわ、やべぇ、めっちゃかわいいね?”

 

 

隣のベンチに座っていたガラの悪そうな二人が声をかけてくる。

 

 

最悪、、、、今日はとことんついてない日だな、

 

 

と自分に苦笑いしながら、

 

 

一緒に回らない?といかにもな感じで誘ってくる彼らに

 

 

ゆ「友達待ってるんで」

 

 

っときっぱり言って、背を向け歩き出す。

 

 

”ねぇ、ちょっと待ってよ”

 

 

そう言って私の手を掴んだ男性に、

 

 

少しの恐怖とものすごいうっとおしさ。

 

 

そんな折、彼女はまるで

 

 

映画のヒーロみたいに颯爽と現れ

 

 

「離してあげてください、彼女嫌がってるんで」

 

 

と私の背後から彼らに声を掛ける。