家に帰ってきてまったりモードの私。

 

 

明日は休みだし、ゆっくり出来る〜なんて思っていた矢先、

 

 

母「今日はおばあちゃん家でお夕飯食べるから、準備してらっしゃい」

 

 

とバタバタ忙しそうなママ。

 

 

重い腰を上げて、着替えるために2階へ上がる。

 

 

ベージュのロングスカートに白いニットを着て、

 

 

軽めに化粧直しを終えたら、

 

 

タイミングよくママが一階から私を呼んだ。

 

 

すぐ行く〜と返事をして、階段をバタバタ駆け降りると、

 

 

ママは靴を履いて、玄関で私を待っていた。

 

 

 

 

ゆ「お邪魔しマァース

 

おばあちゃん!ゆうだよ〜!」

 

 

扉を開けた瞬間、そう叫ぶ。

 

 

私の声を聞いて、

 

 

リビングからゆっくり近づいてくる足音を待たず

 

 

私はリビングへと向かった。

 

 

お婆ちゃん「いらっしゃい」

 

 

と優しい声が耳に響く。

 

 

子供のように駆け出した私に呆れたように笑うママも、

 

 

久しぶりに会うお婆ちゃんに嬉しそうな顔をしていた。

 

 

親子仲睦まじく話す2人を横目に私はリビングへと向かう。

 

 

ぶっきらぼうなお爺ちゃんに挨拶をして、

 

 

私は大好きな縁側へと足を進めた。

 

 

リビングから縁側につながる障子を開ける。

 

 

サーっと涼しい風が私の頬を掠めると同時、

 

 

私は見慣れない後ろ姿を目にした。

 

 

金色に輝く髪と青色のシャツが風に靡いている。

 

 

銀色に鈍く光るピアスと、

 

 

体の横に置かれた手に付いた複数の指輪。

 

 

こんな従兄弟いたっけ、と私は首を傾げた。

 

 

お婆ちゃんのお客さん?

 

 

それとも従兄弟がイメチェンした?

 

 

どれもピンとこなくて、

 

 

考えを巡らせていると、

 

 

予想に反して目の前の彼女は私の存在に気づいていたようで、

 

 

な「すごく久しぶりだね、ゆうちゃん」

 

 

前を向いたまま、優しい声でそう言った。

 

 

恐る恐る確認のため彼女に近づく。

 

 

その心地よい声をどこかで聞いたことがあるだろうか?

 

 

あったとして、私がその声を忘れるとも思えない。

 

 

でもその呼び方に妙な懐かしさを感じながら、

 

 

私は彼女の隣に腰を下ろした。

 

 

な「覚えてますか?私のこと」

 

 

目がなくなる笑い方。

 

 

まさか、、、

 

 

輝くその満面の笑み。

 

 

優しさが溢れ出す顔。

 

 

少し男っぽい顔立ち。

 

 

ゆ「なぁ、、ちゃん???」

 

 

自然と溢れ出したその言葉に彼女はいっそう嬉しそうに笑って、

 

 

顔を縦にブンブン振った。

 

 

な「驚きました?」

 

 

と顔を覗き込まれ、

 

 

私は安堵の笑みを溢した。

 

 

ゆ「うん、とっても」

 

 

そして何より嬉しかった。

 

 

12年も前のあの約束を覚えてくれていたこと、

 

 

変わり果てた中に見える変わらない彼女の姿。

 

 

な「また一緒に遊びましょうね?ゆうちゃん!」

 

 

彼女の大人びた笑顔に頰が熱くなるのを感じる。

 

 

おかしいな、久しぶりにあったからかな。

 

 

本当は彼女の声を聞いた時から、

 

 

何か変な胸のドキドキを感じていたのは

 

 

きっと私の勘違いだろう。