冬ごもり思ひかけぬを木の間より花と見るまで雪ぞ降りける
古今和歌集 巻六 冬歌 331
~ 紀貫之
【詞書】雪の木に降りかかれりけるをよめる
読み・・・ ふゆごもり おもひ(い)かけぬを このまより はなとみるまで ゆきぞふりける
簡単現代語訳・・・ 冬ごもりの (皆が活動をひかえている) この季節に 、思いも寄らないことに木々の間から、花だと見紛うほどに雪が降っている。(ではないか。。。)
冬ごもり・・・「ふゆ-ごもり」【名詞】
・寒い冬の間、動植物が活動をひかえること。
・人が家に籠ってしまうこと。
古くは ⇒ ふゆこもり。
思ひかけぬ・・・ 「ぬ」→ 否定。予測できない。思いも寄らない。
「思ひかく」⇒ ① 予測する。② 恋い慕う。
木の間・・・ 「こ-の-ま」【名詞】
・ 木と木の間。
雪ぞ降りける・・・
・ 文の内容を強調したり、疑問を表したりする。
( 万葉集よりも、古今和歌集や新古今和歌集で多く使われている文法 )
紀貫之・・・ きのつらゆき
* 生 年・・・ 871年頃。
* 死 没 年・・・ 945年頃。
* 氏 族・・・ 紀氏
* 父 親・・・ 紀望行
* 母 親・・・ 不詳。
* 妻 ・・・ 不詳。
* 子 息・・・ 時文、紀内侍、女子
・ 平安時代前期から中期にかけての貴族であり、歌人。
・ 主君 - 醍醐天皇 → 朱雀天皇
・ 官位は、従五位上・木工権頭、贈従二位。
・ 「古今和歌集」の撰者の1人。
古今和歌集、仮名による序文、「仮名序」の執筆者。
< 漢文による真名序は、紀淑望が執筆 >
・ 三十六歌仙の1人。