新玉(あらたま)の年の終(を)はりになるごとに雪も我が身もふりまさりつつ


                     古今和歌集  巻六  冬歌  339

                                                     ~  在原元方


【詞書】年の果てによめる


読み・・・ あらたまの  としのを(お)(わ)りに  なるごとに  ゆきもわがみも  ふりまさりつつ


簡単現代語訳・・・ 毎年1年の終わりが近付く度に、雪がますます降りながら、私もますます (歳を重ね古くなっていく、今年もまた。。。 ( 繰り返される ) 


< 人生は終わりに近付いて行く、、、しかし乍ら、毎年しんしんと降り積もる雪のように、人としての経験と深みが増していく。と捉えた方が年の終わりに寂しいだけの歌にならないように思う。>




ピンク薔薇 新玉の・・・ 「あらたまの」→ 「年」「月」「日」「春」などに掛かる「枕詞


ピンク薔薇 ふり・・・「降り」と「古り」の掛詞

・ 雪が「降りまさる」& 自分が「古りまさる」

・ 「増さる(まさる)」→ (数量や程度などが)多くなる。増える。


ピンク薔薇 つつ・・・【接続助詞】

・  「反復何度も~ては

< 毎年繰り返されるという意。>




在原元方・・・ ありわらのもとかた


*  生        年 ・・・   不詳。

*  死  没  年 ・・・   不詳。

*  氏        族 ・・・   小野氏

*  父        親 ・・・   筑前守、在原棟梁

*  養        父 ・・・   大納言、藤原国経
*  母        親 ・・・   不詳。

*  妻             ・・・   不詳。

*  子        息 ・・・   女子

・  祖父は、在原業平( 元方は、業平の孫 )

・  曾祖父母は、阿保親王、伊都内親王

・  平安時代前期の歌人

・  官位は、正五位下、美作守。

・  中古三十六歌仙の1人


❇️  中古三十六歌仙・・・

平安時代末期に、藤原範兼が「後六々撰 (のちのろくろくせん」に選んで載せた和歌の名人36人の総称。三十六歌仙が選ばれた後に称されたもので、三十六歌仙に属さなかったが、秀でた歌人とそれ以降の時代の歌人が選ばれている。