しのぶれど色に出でにけりわが恋は物や思ふと人の問ふまで


                   拾遺和歌集  巻十一  恋一  622

                                         百人一首  40  

                                         ~  平兼盛                                          

【 詞書 】 天暦御時歌合

  (てんりゃくのおほんときのうたあわせ)


読み・・・ しのぶれど  いろにいでにけり  わがこひ(い)は  ものやおもふ(う)と  ひとのとふ(う)まで


簡単現代語訳・・・  心に秘めてきた恋だけれど、顔や表情に出てしまっていたようだ。
「恋煩いでもしているのですか?」と人が尋ねてくるほどに。



ピンク薔薇 しのぶ・・・「忍ぶ」「しの・ぶ」
①  堪(こら)える。我慢する。
②  つつみ隠す。秘密にする

ピンク薔薇 にけり・・・ 「に-・けり」
①  【過去】~てしまった。~てしまったそうだ。
② 【詠嘆、気付き】~てしまったのだなぁ。しまったことだ。
けり」→  詠嘆の助動詞 

ピンク薔薇 物や思ふ(う)・・・ 思い悩むこと。
物を思う」→  恋に関する物思いのこと。
「物思ふ」→  =疑問詞。「恋に悩んでいるのではないですか?」と人が質問をするという意味。

ピンク薔薇 人の問ふ(う)まで・・・ 人が尋ねてくるまでに。
「人」 →  他人。
「問ふ(う)」 →  尋ねる。問う。



平兼盛・・・ たいらのかねもり


*  生年月日・・・   不詳。

*  死  没  年・・・  991年 1月21日

*  出        自・・・   光孝天皇の玄孫 (ひまご)。篤行王の三男。

*  赤染衛門の生物学上の父と言う説、有り。

・  平安時代中期の貴族であり、歌人

・  主君 - 村上天皇 → 冷泉天皇 → 円融天皇

・  官位は、従五位上、駿河守。

・  三十六歌仙の1人

・「拾遺和歌集」「後拾遺和歌集」における代表的な歌人の1人。


クローバー 三十六歌仙とは・・・

平安時代中期の公卿、藤原公任(ふじわらのきんとう)≪966~1041年≫が著した【三十六人撰】に紹介されている、優れた三十六人の和歌の名人のこと。