秋風にたなびく雲の絶え間より漏れ出づる月の影のさやけさ


               古今和歌集  巻四  秋歌 上  413  
                     ~  左京大夫顕輔 = 藤原顕輔

【 詞書 (ことばがき) 】 

「 崇徳院(すとくゐん)に百首歌たてまつりけるに 」

( * 崇徳上皇に百首歌 (久安百首) で披露された歌。) = 崇徳 (すとく) 天皇。


読み・・・ あきかぜに  たなびくくもの  たえまより  もれいづるつきの  かげのさやけさ


簡単現代語訳・・・ 秋風に吹かれてたなびく雲の切れ間から、こぼれ出る月の光りは何と美しく澄みきっていることだろう。。。

* 叙景歌。【自然の風物を主観を交えず客観的に表現した歌】



ピンク薔薇  句切れなし

ピンク薔薇  たなびく・・・ 横に薄く長く広がっている様子。

ピンク薔薇  絶え間・・・ (雲の)切れ目。


ピンク薔薇 漏れ出づる・・・ 漏れて出る。こぼれて外に出る。「もり-い・づ」(漏り出づ) の連体形。


ピンク薔薇  ・・・ (月の) 光 。「月の影(光)」

・古文で「影」と言えば、光のこと。


🌝 月の影と言えば、この歌が思い浮かぶ。

めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に雲隠れにし夜半の月影」 ~ 紫式部


ピンク薔薇  さやけさ・・・ 清らか、澄み切った。

・形容詞、「清けし」を名詞にした言葉。

→  体言止め。(和歌が名詞で終わること)

→  (余韻を残す為に使われる)

→  ク段活用の形容詞 「さやけし」+ 接尾語




藤原顕輔・・・ふじわらのあきすけ


*  生年 ・・・ 1090年  ( 寛治4 )

*  没年 ・・・ 1155年  ( 久寿2 )


・  平安時代後期の公家であり、歌人

・  官位は、正三位、左京大夫 (左京職長官さきょうのかみ)

・  主君 - 鳥羽天皇 → 崇徳天皇 → 近衛天皇

・  小倉百人一首では、左京大夫顕輔

・  家集「 左京大夫顕輔卿集  」がある。

・  六条家を継ぎ、崇徳院 (すとくいん) の院宣 (上皇からの命令を受けた院司が、奉書形式で発給する文書。 天皇の発する宣旨) を下され、「 詞花(しか)集 」を撰進。


【・ 父親  ・・・ 正三位(さんみ)修理大夫(しゅりだいぶ)・藤原顕季(あきすえ)の三男 】

【・ 母親  ・・・ 藤原経平の娘 】

・ 妻 ・・・  高階能遠の娘、藤原盛輔の娘、家女房、他1名 (不詳)

・ 子 ・・・ 11名+養子1名


クローバー 左京・・・ 内裏 (だいり) から南を向いて左側の意。平城京、平安京を朱雀大路 (すざくおおじ) を境とし、東西に分けた東側。東の京。 

西側 → 右京。


クローバー 内裏 (だいり)・・・ 天皇の住む御殿。皇居。