秋風にたなびく雲の絶え間より漏れ出づる月の影のさやけさ
「 崇徳院(すとくゐん)に百首歌たてまつりけるに 」
( * 崇徳上皇に百首歌 (久安百首) で披露された歌。) = 崇徳 (すとく) 天皇。
読み・・・ あきかぜに たなびくくもの たえまより もれいづるつきの かげのさやけさ
簡単現代語訳・・・ 秋風に吹かれてたなびく雲の切れ間から、こぼれ出る月の光りは何と美しく澄みきっていることだろう。。。
絶え間・・・ (雲の)切れ目。
漏れ出づる・・・ 漏れて出る。こぼれて外に出る。「もり-い・づ」(漏り出づ) の連体形。
影・・・ (月の) 光 。「月の影(光)」
・古文で「影」と言えば、光のこと。
🌝 月の影と言えば、この歌が思い浮かぶ。
「めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に雲隠れにし夜半の月影」 ~ 紫式部
さやけさ・・・ 清らか、澄み切った。
・形容詞、「清けし」を名詞にした言葉。
→ 体言止め。(和歌が名詞で終わること)
→ (余韻を残す為に使われる)
→ ク段活用の形容詞 「さやけし」+ 接尾語
藤原顕輔・・・ふじわらのあきすけ
* 生年 ・・・ 1090年 ( 寛治4 )
* 没年 ・・・ 1155年 ( 久寿2 )
・ 平安時代後期の公家であり、歌人。
・ 官位は、正三位、左京大夫 (左京職の長官、さきょうのかみ) 。
・ 主君 - 鳥羽天皇 → 崇徳天皇 → 近衛天皇
・ 小倉百人一首では、左京大夫顕輔。
・ 家集「 左京大夫顕輔卿集 」がある。
・ 六条家を継ぎ、崇徳院 (すとくいん) の院宣 (上皇からの命令を受けた院司が、奉書形式で発給する文書。 天皇の発する宣旨) を下され、「 詞花(しか)集 」を撰進。
【・ 父親 ・・・ 正三位(さんみ)修理大夫(しゅりだいぶ)・藤原顕季(あきすえ)の三男 】
【・ 母親 ・・・ 藤原経平の娘 】
・ 妻 ・・・ 高階能遠の娘、藤原盛輔の娘、家女房、他1名 (不詳)
・ 子 ・・・ 11名+養子1名
左京・・・ 内裏 (だいり) から南を向いて左側の意。平城京、平安京を朱雀大路 (すざくおおじ) を境とし、東西に分けた東側。東の京。
西側 → 右京。
内裏 (だいり)・・・ 天皇の住む御殿。皇居。