「この子を助けないと」
おはようございます。また、私が見た夢の中の話です。
これもカナリ印象的でした。
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私は家庭教師として働いていた。
手紙を手にして、とあるアパートを訪ねるところから始まる。
ボロい集合住宅。陰気なアパートだった。
ドアなどしっかりと施錠されておらず、吹き飛びそう。鍵もかかっておらず、薄いドア1枚である。
管理人がちょうど見回りをする時間とかぶったようだ。
管理人は「○○さん、いますか?」と、ひとつひとつの部屋に向かってノックをしては生存確認をしている。
文字通りの、本当の生存確認だ。
孤独死するご老人が増えていた。
私は不気味な湿っぽい雰囲気に呑まれずに、目的のドアの前まで進んだ。
ここだ。
その中には、5才ほどの小さな小さな女の子がいた。
とても可愛らしく、わたしを見つけると怖がる様子もなく人懐っこそうな笑顔を向けてきた。
まっすぐとこちらを見る、利発そうな瞳だと思った。
私は手紙を開いた。
その女の子の母親からの、遺言であり依頼の手紙だった。
「この子を宜しくお願いします」
丁寧な字で綴られていた。
私は、この子に勉強を教える使命があるのだ。
生前にこの子の母親が貯めたと思われる、なけなしの全財産がそこに包まれていた。
決してこれから私が長期に渡って勉強を教えていくことを考えれば、世間では安いとも言える金額だろうが、何も気にならないくらい、尊い命の仕事であると思った。
私は、その重みを当たり前のように受け止め、これは母親の苦労が詰まった大金だと感じながらお札を数えた。
あっという間に手紙を全て読み終えて、もう一度少女を見た。
にこにこしてわたしを見ている。
とってもとっても可愛かった。
この子に待ち受けてる未来の見通しは、憂鬱なものだった。
無垢な少女がこの先の人生で、残酷な運命や苦労が襲うことは、想像に容易かった。
それを阻止するために私に託してくださったお母さんの気持ちも伝わってきた。
とても心苦しくなったが、最初から心は決まっていた。
私は何も言わずに少女を抱きしめ、
「この子の未来を、何とかしなくちゃ」
「何とかしないと」
強く強く思った。
そんな込み上げる気持ちと共に、目が覚めた。
起きたとき、現実の私に涙が流れていた。