無人化から三年が過ぎた | 極楽とんぼ ~it's a blow~

無人化から三年が過ぎた

勤めていた駅が無性に恋しくなり フラッと行ってみた


無人化となって早いもので三年が経ったなんて…



2021年3月31日の最終日はよく覚えている

福島テレビさんが朝から取材に訪れていて 慌ただしさと寂しさの中で最終日を終えた


翌日放送された番組は とても感動的に編集されていて プロの腕前を思い知ったし そんな風に記録として残す事ができ ありがたい気持ちでいっぱいになったものだ🥰



最初の一年は さまざまな事に絡めて よく駅を思い出していたし 月日が流れてもやはり何かにつけて頭に浮かんでいた




改めて駅に勤めた20年間を思い出してみたくて【連絡ノート】を引っ張り出してみた


ノートには その時その時の出来事が綴られていて しみじみと懐かしかった



そもそも私が駅に勤める事になったのは 親戚であり同級生でもあるシュウイチくんから

「駅で人を探してるんだけど どうだ?」

そう声を掛けられたからだ


当時教育委員会での臨時が終わり 何か仕事がないかなぁ…と探していた時期だった

今まで色んな仕事を経験して来たけど 駅は未知の分野


でも週に二〜三日だし 時間は7時〜16時まで

電車の走らない時間には家に戻る事も出来る

それに人と接するのは嫌いじゃない


思い切ってやってみる事にして 平成12年(2000年)の10月から行きだした


先に勤めて居た松倉さんに付いて 駅舎の掃除から始まり 発券機端末の操作 お客さんへの対応 電車の見送り 締切業務…と一通り教えてもらった

何日か練習して いよいよ独り立ち!という日はかなり緊張したものだ


当時は朝の電車はかなりの人が利用していた


朝7時半頃になると 山奥の方から来るバスが二台駅に着く

バスを降りた人達が駆け足で窓口に並び行列を作った

電車が来るまでの5〜6分の間に 切符を出してさばかなければならない

慣れない内は 毎回手が震えていた


会津若松や喜多方など 近場の切符はまだいい

時々「東京まで!」とか言われると「ゲッ!」と焦った💦

乗車券とは別に新幹線の切符も出さなきゃならないので時間がかかる

慣れない手つきで端末を操作する内に「キキーッ!」と電車のブレーキ音がしようものなら焦りはMAX😱

汗が吹き出した💦💦


間に合わなかった事がたびたびあって落ち込んだりもした


少し慣れてからは 時間を見ながら無理だと思った時は 迷わずに車内で買ってもらうように…

それが出来るようになってからは随分気が楽になった


それにしても最初の頃はよく失敗をしたなぁ…😅


中でも忘れられないのが 全席指定の特急なのに そうとは知らずに自由席特急券で売ってしまった事…

会津若松駅から鉄電が来て 間違いを指摘されてわかった


会津若松駅ではお客様に説明し 一旦払い戻しをかけて 再度指定券を発行する形で対応したらしい

一枚の切符で何人かの人に迷惑をかけてしまい 責任の重さを痛感した出来事だった😖

それにしてもあの時電話をくれた駅員さんは優しかったなぁ…



【春】

雪が解けると 会津の春は一斉にやって来る


駅から歩いて5分程の発電所は桜の名所🌸

おまけに桜並木に沿って線路があるので SLの走る日はカメラマンが大勢やって来る




少しずつ桜の蕾が膨らんだ頃

「今の桜の状況はどんなですか?」

決まって駅に問い合わせの電話が何本か入る


「満開はいつぐらいですか?」

「今度の土日はどの位ですかねぇ?」


この質問が一番難しい

いつ満開かなんて 天気具合で予想出来ないから…

ただ向こうもそれは心得ているから その時点の状況を伝えればわかってくれる


SLに関しては色々あったっけ💦

思わぬハプニングで遅れたり 運休になったりした時は カメラマンのいる場所に何度伝えに走った事だろう!

頼まれてもいないのに 今思えばお節介魂全開だったなぁ😅


最初の頃は誰もいない駅に 電話が虚しく鳴り響いただろうけど もう電話をかけてくる人もいなくなっただろう…



【夏】

とにかく暑かったの一言❗

…と言うのも 駅事務所はものすごく狭く 畳一畳分くらいしかなかった

その狭さなのにクーラーがない

おまけに防犯上ドアを開けてはおけない

灼熱地獄そのもの

お客さんがいない時は 待合室に出て凌いでいたものだ


その駅事務室の隣は ガラス一枚隔てて農協の支所になっていた

見るに見兼ねた当時の支所長が ガラス戸を少し開けるようにしてくれた!

20cm程度の隙間から冷気が入って来る

それだけで どれだけ助かった事か😭

ただ 土日担当が多かった松倉さんは 農協が休みのため それすら出来ずかなり大変だったと思う😖


【秋】

毎年9月中旬になると我が家の稲刈りが始まる

ハッキリ言って稲刈りが嫌いな私は駅勤務がありがたかった㊙


駅は3人でシフトを組んでまわしていた

当然替わってもらう事もあったけど よほどでなければシフト通り!

私が駅の日は主人が一人で稲刈りをしている


『駅の仕事をしているんだから 稲刈りは考えない事にしよう!』


そうは思うけど やっぱり稲刈りをしている主人が気になるわけで…


『またコンバインがハマってんじゃないだろうなぁ…』

『脱出手伝ってくれる人いるかなぁ…』

それはそれで気になって仕方ない💦


旅行とかに行ってても留守中の事が気になって 心底楽しめないタイプ

つくづく損な性格だわ😓


【冬】

とにかく雪には泣かされたなぁ…


駅構内やホームの除雪は 別棟に除雪隊が控えているので 基本私達はやらなくてもいい

ただ 除雪隊が帰った後や休みの日にドッカリ降られると ホームの降車口あたりはやるようにしていた


一番大変だったのは遅れ


遅れが出た時は 家に帰る時間もなくなるから 朝食を食べられなかった事が何度もあった

乗客が居ない時は 構わず戻ろうかと思っても 発車した事を隣の野沢駅に電話しなければならないので そうも出来ない

そこへ行くと運休になった時は諦めがつく

窓口に【運休】のお知らせを出しておけばいい😅

だからと言って 駅が休みになる事はないけど…




数々の失敗も含め 様々な事が頭をよぎるけど 思い返せば 総じて駅勤務は楽しかった🎶


色んな人との関わりも ちょっとした事件やらハプニングも今となれば懐かしい思い出


この間松倉さんが急逝するという 思ってもみない事もあり 駅にあまり足が向かなかったけど 私にとってこの駅はやっぱり大切な場所だ



待合室のベンチに座り 様々な事を思い出す貴重な時間が持てて良かった😊

そう言えば 一番印象に残っている【シケモクおじさん🚬】は元気かなぁ…


その話はまた次回に😁