【リク罠208】「酔わない女(仮)」

 

 

魔人様<リク罠>より~酔った勢いで関係を持った蓮とキョーコ。それ以来蓮からはお酒を理由に誘いながら…さて二人は?

 

 

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「何か…思い当たることが?」
「……ゴメン…。君への気持ちが漏れないように、口に出さないようにずっとしていたから…ゴメンね。…癖になっていたかもしれない…」

 

「えっ…それはどういう…?」

 

 

 

甘えたい女~もうひとつのお祝い 16完

 

 

 


「ずっと…君への気持ちを閉じ込めていたから、最初のお酒の時もそうだったしな……。あぁ~~ゴメン…」
 蓮はキョーコを掴まえられた歓びよりも不安にさせた失態に、我ながら呆れて盛大な溜息を吐いていた。
「どういう意味…ですか?」

 

「長い間に言葉にするのを躊躇う癖になっていたかもしれない……はぁ~~ゴメン。いや…ゴメンじゃすまないね…。申し訳ない。君を苦しめていたし…。ホント、ゴメン。申し訳ない」
 蓮は溜息を吐きながら、キョーコへ謝罪しながら頭を下げた。
 キョーコは今まで見た事もない蓮の溜息の嵐に、呆れ加減で見ていた。

 

「君への気持ちを、素直に言葉にすることを封印していたんだ。ゴメン。無意識の時までしていたとは……はぁ~~」
「あの…そんなに長い間……なんですか?」
 蓮が自らの失態ぶりに、後悔と謝罪の言葉を繰り返し、余りにも蓮らしくない姿に…そしてキョーコは不思議そうに問い掛けてみた。

 

「君が高校生で、ダークムーンの頃からだからね…」
 蓮は遅くて、そして長い初恋の始まりを思い出して、少し恥ずかしそうに溜息交じりに苦笑した。
「…そ、そんなに前から!?」
 単純に考えても4年以上にはなることで、キョーコが驚きで目を見開いた。

 

「君にダークムーンごっこを頼んだ時、あの時から…君への思いをはっきり自覚したんだ。だから君に頼んだ」
「……うそ…」
 キョーコも驚きで涙が止まってしまい、蓮を見つめた。
「俺も…まさかあの時の思いのまま、君をずっと思い続けるほど…君だけを見つめ続けるとは、思わなかったけどね…」

 

「ど…どうして…?」
 キョーコの言葉に、蓮は我ながらと溜息から苦笑に変わった。
「それは俺が知りたいね。いつまでも後輩として…俺を見つめてきてくれた君は、いつまでも真っ直ぐに俺を見つめてくれて、俺も君から目を離すことも出来なくて、君以外の誰も目に入らなかった。ただそれだけだろうね」
「……他の誰も…ですか?」

 

 キョーコには蓮以外に見つめる人がいないかったとしても、蓮程であれば魅力的な女性が入れ替わり立ち替わり現れても不思議ではない。
「そうだね…。見た目の魅力を持つ人ならモデル仲間もいたけど、そんなものは関係ない。君の全てを愛してきたから…」
「…わ…わたし…も…」
 キョーコも撮影中に刺さった棘が、偉大な先輩への思いに変わっていった日々があった。
 再び泣き出したキョーコを蓮は優しく抱き締めた。
 互いに言葉にはしなくとも、長い時間…心に秘めてきた思いは…やっとお互いの心に届いて抱き締め合えるところにきた。

 


 そして記者会見場としての場ではあるが、司会担当の山村も自らが切り盛りする筈の2人を、直視するのがどうしたものかとバカらしくもなり溜息を吐いてばかりいた。

 

 会見場となっている筈の場所で、気付けば2人だけの世界を作り蓮はキョーコを抱き締めて、周りを無視しての公開プロポーズからイチャイチャし始めれば、カメラは撮りまくるが、記者達は二人の馴れ初めから色々を聞ける訳だが、インタビューという形を取るにも憚られて赤面するしか無い。ここで口を挟もうものなら、蓮の視線に射殺されるようなバカはいなかった。

 

 しかしその空気を破る大きな音を立て、会見場横のドアが勢いよく開いた。そしてコントラバスのような低音で、しかしその大きな声は会見場によく響き渡った。
「おい、蓮! 大きく出やがったな」
 サイドの関係者入り口から、見計らったように現れたローリィが、少しばかり凄味を利かせた声で蓮に声を掛けた。
 記者会見場は、会社としての形を取って開いたが、気付けばメイン2人のイチャイチャ会場と化していて…。
「社長…」
 蓮は真剣な眼差しでローリィを見ながら、キョーコの肩をそっと抱き抱えるようにして近付いていった。

 

「今回の事、俺は揉み消さねぇからな」←報道陣は全部役者?
「ええ、かまいません。俺としては、もみ消しされた方が迷惑ですから」
「何?」

 

 この会見を開くにあたった状況では、キョーコへの風当たりの方が強い状況なのは、蓮の人気故のところもある。だが京子の人気が極端に下火になった訳でもない。
 それならこの会見を公表する事で、蓮の望むキョーコを手にし、キョーコの馬の骨を片付けられるなら一挙両得だと蓮は思っていた。

 

「愛する女性1人を守れなくて、自分1人が助かりたいとは思っていません。『聖人君子なんてクソ食らえ!』…です」
「ほう?」

 

 ローリィは、蓮が『クソ食らえ!』と言った時だけ、昔のクオンの粗野な響きを感じたが、周りの報道陣は、その言葉だけで敦賀蓮にしてはキレた言い方だと感じた。

 

「役者としてのイメージも大切ではありますが、『敦賀蓮』は『良い人』過ぎました。マイナスばかりは頂けませんが、もう少し俺らしくやりたいです。ご心配をお掛けしますでしょうが…」
 蓮はローリィには深く頭を下げた。するとキョーコも泣きながらそれに倣った。

 

「わかった。だがお前も、『敦賀蓮』として生きてきた時間の分、お前の一部になっている事も憶えておけよ」

 

 ローリィの言葉に一瞬はっとした蓮だが、もう一度無言で頭を下げた。
 役者やモデルとしても、クオン・ヒズリとは違う日本人の敦賀蓮として過ごしてきた時間は、10年を超えて身に付いた自分自身でもあると、蓮もローリィに言われてみて実感した。

 

「それにしても、お前にしては我が儘だな。アレも、コレもと…」
 蓮は少し視線を落として…小さく笑いながら、今と違うクオンとしての姿を思い出した。
「確かに。以前の俺と思えば欲しいモノが増えました。そう思えるようになったのも、キョーコのお陰です」
「ふん。お前には必要だったと言う事か?」
「そうですね。俺なりに此処で努力もしてきましたが、キョーコのお陰でまた変われました。そして心底欲しいと思えるモノがあれば、どれ程心強くなれるかも知りました。本気で欲しければ、みっともないぐらいに足掻いて掴むなら…我が儘と言うより貪欲と言って貰えませんか?」
 少しだけ上目遣いで強気な蓮がローリィにニヤリと笑みを向けると、同じような笑みが返った。
「貪欲ねぇ。『敦賀蓮』には少しばかり似合わねぇ言葉だが、今のお前の面には合うかもな…」

 

 ローリィはそう言って嬉しそうに笑った。
「最上君」
「は、はい」
 急にローリィに声をかけられ、キョーコの声は緊張した。
「コイツみたいな我が儘な奴の相手は、君ぐらいしか務まらんだろうが、いいのか?」
「……私のような者で…敦賀さんが宜しければ…」

 キョーコは何処までも謙遜という言葉を忘れないでいたが…。
「キョーコ。まだ言ってるの? もう一度塞ごうか?…口…」
 蓮は悪戯っ子が好きな女の子の顔を覗き込むような顔をすると、慌ててキョーコが両手で口を塞いでも、蓮は笑みを浮かべてその手を退かせて再び重ねた。もう決して逃がさないという思いを重ねて…。

 

「ふん! 勝手にやってろ!」
 ローリィは、貪欲と言えるほどに自分の思いに正直になった蓮の成長を、今夜親友に知らせたいと思いながら、嬉しそうな笑みを浮かべて去って行った。
 しかしその知らせは一足早く海を渡り、親友とはネット越しに酒を酌み交わしながらの祝杯となるが、その妻からは愚痴を聞かされることになった。

 

 会見というのも名前だけで、蓮がキョーコを説得という名の口説く為の場になってしまえば、カメラマンは張り切るものの記者達にはインタビューの隙間がないほどのラブラブ振りに、目のやり場に困ったのは若手の記者達だった。

 

『あの…恋人会見って、いつもこんな感じなんでしょうか?』

 

 免疫のない若手には、少しばかり荷が重い会見になったようで…。

 


*************

 

 


 そして半年後……

 


 2人の正式な婚約会見が開かれたが、社長が取り仕切る豪華でど派手な金屏風から、『婚約会見ですか!? 結婚会見じゃないの!?』と突っ込まれるほどで、キョーコの真っ白なロングドレスは…背中も深く空いたロングドレスで、蓮のアルマンディのスーツ姿は、半年の時間で本来の2人の幸せな笑みとなり、祝福の声が2人にも温かく降り注ぐ事となった。

 

 


♡FIN♡

 

 

短いですが、番外編ご用意しております♡(*´艸`)
書いてる途中で「番外編ネタ」としてメモったモノです。(*´艸`)

明日アップします♡

 

 

 

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