寒くなる前に終わります~と言いましたけど、
無理でした~(;'∀')
というか、こんなに急に寒くなるのは反則だ~~(;_:)
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三上監督からの新たに訊いた…ドッキリ!!? 違うの!!?
ドッキリじゃないの~~!!??
それも、それも、どうして敦賀さんと共演!?
【リク罠】危険な番宣~「夏のトビラ」~9話
別ドラマなのに、何故敦賀さんと共演ですか!!??
いえいえ、共演はいつもなら嬉しいとお受け出来ますよ!!
でも、でも、相手が洋子…なんですよ? S気の、女王様の洋子なのに~~~。何故こうなるのですかぁ~~~!!??
番宣メイン用と言って撮影していた監督が………
『監督曰く…「あの小悪魔チックな京子はなんだ? やけに色っぽいじゃないか? 中々謎そうで良い感じだな。もっと大物に流し目をするのも面白そうだな」と業界の奴からも何人も聞かれてな。
どうせなら同じ局で放送される別ドラマのメイン役者と少し絡めるという…謎っぽいワンシーンを後半の1話の中に差し込むことが決まった。本筋のストーリーには関係無いが、敦賀くんのドラマも恋愛メインだからな。横から別の女性が誘っても大丈夫だ。お互いのドラマの宣伝にも使えるからと、プロデューサーの許可も下りたからな』
…………な、なんですとーー!!?
それで、それで…寄りによっても…敦賀さんと洋子ですか!!?
それも、それも、小悪魔チックでコケティッシュなS気の洋子との共演ですかぁ~~!!?
場合によっては…敦賀さんにあんなコトするの!?
……イヤイヤイヤ…それはあり得ないでしょう?
『抱かれたい男No.1』の男性ですよ!?
私、敦賀さんのファンの女性から殺されますって!!
…はっ! あれ? あっ、もしかして~~!!?
前に感じた…三上監督の危ないトビラって……まさか、コレ!?
敦賀さんとの危なそうな絡みですかぁ~~~!!?
ダラダラダラ……。コ、コワイ~~。
三上監督……やっぱ侮れないわよぉ~~。
イヤ~イヤよぉ~~シクシクシク…
『ああ、流石に敦賀蓮を足蹴には出来ないけど、うん~~。
洋子の小悪魔な雰囲気で「敦賀蓮」を誘惑する流れはどうだ? 双方のカメラで目線を撮るから、特に後半は2人目線をじっくり勝負してだね! 絡みシーンは5分程だが、『抱かれたい男』と『S気の妖しい少女』の共演は目に付くと思うからね』
そんなこと、そんなこと、よぉ~っく知ってますよ~~!
敦賀蓮を目標にしている敦賀教を信仰する信者、後輩京子ですから!
共演できて、なおかつ同じシーンで5分なんて!
ダラダラダラ…(あぁまた、冷や汗が滝のように…)
あ~~う~~、なんか…番宣クリア…出来てなかった感じですか?
はぅ~~はぁ~~。
監督の…三上監督のバカァ~~~。
それってどんなワナですか?
敦賀さんに洋子なんて……間違って夜の帝王が降臨したら、どうするんですかぁ~~~~怖い予感しかしないんですがぁ~~~。
そ、それも、つ…敦賀さんを誘惑?
誘惑なの!?? 私が!? それも小悪魔で誘惑~~!??
何処にそんな女性の武器を持った京子がいるんですかぁ~~!?
洋子なら持ってるって言うんですかぁ~~~!?
知っていたら教えて下さい!
売っていたら買ってきて下さい、監督!!
そ、それも…2人きりで5分…!?
TVの5分って…ドラマの5分って…結構長い……それも2人きり!!? 2人っきりなのぉ~~!!??
小悪魔で、誘惑で、敦賀さんと2人だけ!?
ダラダラダラ…(あぁまた…冷や汗が滝のように…)
敦賀さんを誘惑でなく、敦賀さんになら誘惑いつでもされちゃ……され…ちゃ…、されちゃダメだってば~!!
敦賀さんに誘惑されたら、底なし沼~!!…って沈んじゃうから~!!
私の演技じゃ敦賀さんには勝てる訳ないです!!!
ましてや誘惑なんて、無理です!!
はあああああぁぁ~~~。
……私に…どうなれと言うんですか、監督!?
人身御供ですかぁ~~!!?
もうもう…三上監督なんて……大嫌いよぉ~~~バカ~~。
そんなキョーコが心中、嵐になってしまった時間を遡ること一週間前……
三上監督は蓮とすれ違って声をかけた。正確には…蓮の収録スタジオの前で待っていたのだが……。
「よお、敦賀くん。この前は京子さんを救護室に運んでくれてご苦労様だったね」
「いえ、たいした事では…。それに俺の事務所の後輩でもありますから」
蓮は監督の視線に何か感じて、軽い挨拶でやり過ごそうとして足を止めなかった。
「ああ、そうだったね。『大切な後輩』だったね…」
監督の声色に…『大切な』と呼んだ時の声が一瞬強調されて、蓮は足を止めた。
「彼女はその後…体調は大丈夫ですか? 頑張りすぎるところがありますけど…」
「周りも気を付けてるよ。空調も修理も終わったしね。それにマネージャーさんも時々様子を見に来てるようだしね」
「…ああ、そう言っていましたね」
蓮は社のこのところの行動に、小さく笑った。
『お兄さんの心配するところだろ?』
最近の社は蓮の映画の為の調整もあり、スケジュール帳を捲りながらの打ち合わせなどで忙しそうだが、それでも撮影所での時間があれば、キョーコのスタジオに足蹴しく通っている。
本音としては蓮自身も覗きに行きたいのだが、キョーコを運んだことがいくらか注目を集める結果になってしまった。故に社の言うところの『先輩と後輩』の距離を保つ為に、必要以上に人前での接触は避けた方がいいとクギも刺されてしまった。
ホントに…俺の方が振り回されてばかりだよ…最上さん……。
「それで君に一つ…聞きたいのだが……」
「なんでしょうか?」
「………君は…彼女の……先輩なだけなのか?」
かなりストレートな三上監督の言葉に、蓮は三上監督を見詰めた後、自分の行いを振り返って自嘲気味な笑みを浮かべた。
「……それは、彼女に聞いて下さい」
蓮がそう答えても…監督がキョーコにそんな問い掛けはしないと分かっていて蓮は言った。
自分にとっての彼女が『大切な女性』だとしても、一方通行な気持ちでは彼女にとっては迷惑でしかない。それに芸能人という立場であれば、何処までを公人と言えるか分からない好奇の目に晒されているようなものだ。
それなら…『先輩』である自分が先にラインを踏み出してしまうのは、彼女を巻き込む事にもなる。
ふむ…と考える監督の頭の中では、『簡単には本音を漏らさないし、頭も切れる』…どうやって蓮を崩そうかと巡らせていた。
「ならば、君は…役としての『洋子』をどう思う? 『洋子』と対峙してみたくはないか? 京子さんとはまた別の意味でいい味がある。妖しくてなかなかの色気だぞ…」
三上監督は京子の演じる『洋子』という切り札で蓮の表情を伺う事にした。
三上監督の誘いに、蓮は心の中で溜息を吐きながらも…僅かに目を細めてひと癖ある笑みを浮かべた。
「『洋子』という少女は、京子さんの中から生まれたもうひとりの彼女ですよね? 彼女は…京子さんは、演技を重ねるごとに…『自分を作っていく』ことで成長しようとする少女ですよ。色気のある目線も、仕草も…彼女にとっては一枚のベールに過ぎない。多くのベールを重ねて、彼女は成長すればもっと輝きますよ」
「…ほぉ~~『洋子』ぐらいはまだ序の口だと?」
蓮の言葉に三上監督は蓮を見る目がまた変わった。恋モノの色気よりも、好奇心よりも…より美しく輝くものが見たくなった。
「俺も何度も驚かされていますので、何処までかは分かりませんが、彼女自身も自覚がないので…振り回されるのは周りですが…」
「そうなのか? 君も振り回されたのか? …まさか君ほどの役者でも…?」
三上監督の探るような目が、蓮の言葉が真実かを知りたがっていた。
「無いとは…言えませんね…」
蓮は両肩を上げて、自分に呆れた仕草をする。
「『洋子』の色気レベルではそれほどではないのか?」
三上監督の興味が、キョーコを語る蓮の言葉に知らないうちにぐいぐいと引きつけられていく…。
「本気のスイッチが入った彼女は、憑かれる状態になってしまうと自分の『貌』を忘れますから…。今の収録中もそうだと聞きましたよ。京子さんでいる時なら恥ずかしいと避ける部分も、役として自分を忘れて…憑かれる状態になるのは、怖いところです…」
蓮も誰かに話せる事では無いが、ヒール兄妹の時の彼女を思い起こせば簡単に想像もつく。セツカでいる時の彼女なら、最上キョーコであれば逃げ出したくなる事も演じきり、そして蓮のお守りの役目も果たしてくれた。
ヒール兄妹としての時間だったが、蓮にとっては終わってしまうのがもどかしいほどに充実もしていた。自分の中のクオンとの対峙も、過去を振り返り前向きになれたのは、キョーコがいてくれたからこその時間だった。
三上監督は蓮の浮かべた妖しい笑みに、「もう少し話せないか?」と…ニヤリと笑って蓮の時間が許す限り京子の話を続けた。
《つづく》
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