続きです。






「不思議な空間」



それはある日偶然見つけました。



わたくしと弟はとても仲の良い姉弟でした。


大人たちはいつも忙しく


私たちは二人でよく遊んだり

ごはんを作って食べたりしていました。


わが家の玄関には

「鍵」というものはありませんでした。


入ろうと思えば

いつでも誰でも中に入れるのです。


それは幼い姉弟にとっては

「怖いこと」の一つでございました。



ある秋の日の出来事です。



大人たちはより一層忙しく動き回り

そのことにすっかり慣れた姉弟は

いつものように家の中で

静かに遊んでおりました。

するとそこへ・・・



「コンニチワ」



お客さんが来たのだと、わたくしは

他所ゆきの笑顔を作り

玄関へと走っていきました。


!?


お珠は固まってしまいました・・・


口は「あ」というかたちに開いたまま。


シワなどどうやったって寄らない

ツルツルの眉間に力をこめて


固まっていました。


そこへ弟がやってきて


「おねーち・・・」


弟の口は


「い」のかたちでございます。


弟が現れたことで我にかえったわたくしは


「ぎゃ~~~~~っつ!!」


弟の手をとり、家の二階へ猛ダッシュ!


母のクローゼットに潜りこみ


右手で弟の口を押さえ


左手で自分の口を押さえ


息を殺して隠れていました。


何かの映画で得た知識でした。


そして


あれ?


ここもそんなには安全でなかったかなぁ・・・


そんなことを考えていました。




そのお客は、布教活動中の外人さんでした。

ボロボロのマントのようなものを着ていましたし

外人さんを生で見たことがなかったので

二人は驚いてしまったのです(笑)




さてこのように


二人は「かくれんぼ」が得意でした(疑)


家じゅう、庭じゅうを使ってかくれんぼをしました。


その日も暇な二人は始めました・・・


「かくれんぼ」を。




そうして見つけてしまったのです。



「不思議な空間」



それはどれくらいの広さだったのでしょう・・・


畳一畳あったでしょうか・・・


そこには窓などありませんでしたが


どこからか細い光がもれていました。


中には何もなかったと思います。


幼いお珠はその空間を見つけた瞬間・・・


ピシャッ!


素早く小さな扉を閉じました。


開けてはいけないものをうっかり開けてしまった


「ごめんなさい!」


そんな感じでございます。


かくれんぼで隠れている時の何倍いーや


何万倍もどきどきしてきて


息苦しさのあまり外に飛び出しました。


わたしは何も見なかった・・・


わたしは何も見なかった・・・


見なかったことにしたのでございます。




後に母に聞いてみたところ


「そんなものはないよ」


こうきっぱり断言されては


それ以上聞くことができません(泣)




その小さな扉は



二階の 



一番奥



祖父と祖母の寝る部屋にありました。




下の段。



押入れの 



一番奥に。






「そんなものはないよ」





だったらそれでいいのです。







momo18




次はですね~


「開かないドア」です。