息子は高校卒業後、テレビカメラマンになりたいと、

東京の映像関連の専門学校へ行った。

 

地元にいる頃は、特に悩み事もなさそうで

高校の部活を引退した後は、今までの分を取り戻すように

友達とよく遊びに出かけていた。

 

ただ、父親とは過干渉やモラハラ的な言動から溝ができていた。

そのせいもあってか、どうしても東京に行きたいと。

 

私も、父親とは距離を置いた方がいいと思った。

 

専門学校は2人部屋の寮で、その時に同室だったのがT君

 

よくパチスロに行っていたようだ。

最初は、これくらいで止めようという自制心が

働いていたのかもしれない。

 

でも、いつの間にか有り金を全部つぎ込む

お金が無くなると借りてまで通う…

 

負けると、もう絶対にしない!と思うようだが

次の日になるとまたパチスロに行きたくなる。

 

息子のギャンブル依存症の始まりだった。

 

でも東京で離れて暮らす息子がそんな状況だったなんて

ずっと後で知ることになる。

 

ギャンブル依存症。

最初のうちは止めようと思えばいつでも止められる

と思うらしい。

 

ちょっとだけやろう。

5千円だけで止めよう。

 

そう思って行くけど、いざ始めると

財布がすっからかんになるまで止められない。

 

次第に、頭はギャンブルとお金のことでいっぱいになる…

 

止めたいのに止められない…

ものすごい後悔と自己嫌悪感が襲ってくるらしい。

 

専門学校を卒業し、念願のテレビ番組制作会社に

就職した息子だったが、そんな精神状態が続くうちに

とうとうその年の年末、ストレス性胃腸炎で倒れてしまった。

 

そして自分から「実家に戻りたい」と言い、

年が明けてすぐに戻ってきた。