今回はバリュー(割安)について書いてみます。
私は、株式投資を始めたころから数年間は、成長株メインということもあり、株価のバリュー(割安)具合などはあまり気にしていませんでした。
割安株は不人気株、だから割高株を積極的にどんどん買う!
そんな感じでした。確かにそれはある意味正しいのですが、ちょっと条件があるんですよね。それはどんなものかを話したいと思います。
割安というのは、例えば、本来100の価値があるのに80の価値に甘んじている状態を言います。100の価値が適正なので、80→100に移ることを期待して買うのをバリュー投資といいます。
割安を示す代表的なものにPERがあります。
PER=株価÷1株益
で、現在の株価が1株当たりの利益の何倍かを示すものです。日本市場全体ではPERは15ぐらいが目安と言われていますが、これは全ての個別株に当てはまるわけではありません。業種や地合いによってかなり異なります。
PERについてピンとこない人は、次のように理解しておくと分かりやすいです。「ある企業の現在の株価が1,000円でPER15倍だとすると、現在株価は、その企業15年分の利益を株価が織り込んでいる」。
つまりPER100倍だと、100年分の利益を織り込んでいる!ことになります。100年分の利益を織り込むとかあり得ないですよね。トンデモない数字です。
しかし、ときどきPER100でも上げて行くような銘柄があります。
その昔、疑問に思ったんですよね。「なんで100年分の利益を織り込んでるのに上げるんだ?」って。普通に考えればあり得ないでしょう。
最近の例だと、3778さくらインターネット。
この銘柄、2024/1/31に2024年3月期3Q発表があったのですが、今期予想の1株益23.81円、その日の終値3,620円だったので、予想PER152倍です。152年分の利益を織り込んだ株価でした。
普通に考えれば、ここから買うなんてあり得ないですよね。それでも3/7に10,980円まで上昇したのです。この時点で予想PER461倍です。
このときの上昇は、経済産業省から「国産データセンターに指定される」という国策材料に対しての思惑相場でした。
株探などの情報検索が出来るサイトで、データセンターというテーマに被る全銘柄を抽出し、その予想PERの平均を取ると、約30倍なので、仮にPER適正値を30としたら、461はその約15倍。
1株益23.81円×15=357.15円。経常利益でいえば、1300百万円(2024年予想)×15=19,500百万円の期待がかかった事になります。
つまり、PERが100倍を超えても上昇するような銘柄には、それだけ将来的に巨大な利益が生じるだろう…という思惑が必要となります。
ただし、上昇相場の終盤では、投機化によるパニックに近い買いが起きることがあります。さくらインターネットも4,000円を超えてから10,000円に至るまでの上昇は、将来価値を織り込みに向かったというよりも、半ば提灯記事によって群がった(通称イナゴ)による投機買いで一気に上がったような印象(個人の感想)です。
個人投資家の場合、業績を見てジックリ買う投資家よりも、勢いに飛びついて買うタイプが圧倒的に多い、また出来高と値幅のある銘柄を主戦場とするデイトレーダーの存在などから、こういう上昇終盤の垂直上げのようなことはよく起きます。
それでも、やはり高PERの銘柄は、将来に対する相応の期待が込められているわけです。
例えば、上昇前にPER50倍で推移していた銘柄が、PER100倍まで買われた場合、もともと将来的にPER50倍の収益が期待されていた銘柄に、更に2倍の増収増益が期待されたことになります。
収益が増える、変化する、つまり成長するということですので、高PERは成長期待が強い銘柄と言えます。
マイルール④
高PERの銘柄を仕掛ける場合、高い理由を確認する
【余談1】現在2025年3月期の3778さくらインターネットで、業績相場が始まり、株価が今年つけた思惑相場の天井を超えるには、先ほど検証したレベルの業績予想が出る、あるいは期待が湧かないと難しいかなと思っています。そういった可能性も含めて監視銘柄にはしています。
ところで、バリュー(割安)というのは絶対基準なのか?という疑問があります。
先ほど、日本市場全体ではPERは15ぐらいが目安と書きましたが、これが絶対基準となって、全ての銘柄の株価はPER15倍に引っ張られるわけでもありません。業種や地合いによって異なります。
例えば、バイオ関係のPERは軒並み高いものが多いです。それだけ高い収益を生むものを開発研究しているからです。
先ほど、さくらインターネットの適正PERをデータセンター銘柄全体の平均PERと比較しましたが、もし、このデータセンター全体の平均PERが上がった場合、例えば平均PERが30→40になれば、バリューを判断する基準も上がりませんか?
ここで、図1の例を見て欲しいのですが、これはある特定セクターに属する銘柄の平均PERです。架空の銘柄で、ここに登場する6銘柄は、どれも殆んど同じ商品サービスを扱っているとします。
地合いが好調だったために、全体の株価が上昇しPERの平均も18.5→22へと上がりました。
図1:ある特定セクターにおけるPERの平均比較
PERの値はDDD:20だけ変化しませんでしたが、このときDDDは割安でしょうか、割高でしょうか?(※この銘柄固有の業績などは全て平均的とします)
PER15を絶対基準としてしまえば、いずれも割高です。しかし、相対的に見れば、変化前の平均PERは18.5なのでやや割高ですよね。しかし変化後は22になっているのでやや割安といえます。
特に個別材料がない場合は、このDDDはセクター全体に連動して上げて行く可能性があります。いわゆる出遅れ銘柄って奴ですね。
ただし、特定セクターだけが突出して割高になってしまった場合、その過熱感から最終的にセクター全体の株価が崩壊してしまうこともあります。近年では、AI相場や半導体相場なんてのがそうでしたね。でも、そういう場合も結局は他セクターとの比較で割高であるとの判断になるので、やはり割安かどうかは、全体の中で相対的に判断する要素が強いのかな、と思っています。
理想をいえば、同様のビジネスモデル同士で比較するのが正確ですが、企業収益の柱は幾つかのセグメントに分かれている事があるので、細かく分類していくのは結構難しいです。
私の場合は細かく分ける場合には、テーマ、業種、ぐらいで見ますし、通常は、プライム、スタンダード、グロースという市場ごとに、それぞれの銘柄を相対的に比較するようにしています。市場の分類だけでも、相当に性質分けがなされています。
マイルール➄
バリュー(割安)は相対的に判断する
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【余談2】証券会社によっては、次のような情報を提供してくれたりもするのもあります。似たような銘柄同士でのファンダを比較できます。
私は1つでも使えるサービス機能があると思えば、取引に使わなくても(どうせ無料なので)口座を開いておきます。
※画面はSBI証券(案件ではありません)
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では、相対的に判断するにはどうしたらよいのか?ということなんですが、相対的に見るには、全体の様子を把握しておく必要があります。例えば、プライム、スタンダード、グロース、それぞれ全銘柄の中で、どのくらいの位置(何番目)ぐらいにいるのかをチェックすることで大体分かります。
このPERですが、多くの投資家が参照しているので非常に有効性の高いものなのですが、全体の中でリニアに(一列に並べて)比較しようとすると、少々やっかいな問題があります。
今回、長くなったので、その問題点と解決方法を含めて、続きはまた次回に描いてみます。
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