2019年の東京ヤクルトスワローズは、5位とも9ゲーム差という断トツの最下位でシーズンを終えた。前年の2位から飛躍を期した筈が、自らが持つセ・リーグタイ記録に並ぶ16連敗を喫するなど、低空飛行で試合を重ねた。


その結果、小川監督、宮本ヘッドコーチ、田畑投手コーチ、石井打撃コーチが退団。高津二軍監督が来季は一軍監督に就任し、宮出打撃コーチがヘッドコーチとなるなど、新体制を進めている。


今年のスワローズは、最下位に沈んだ一方で、村上選手の活躍などもあった。そこで、当ブログでは「2019年の東京ヤクルトスワローズ光と陰」と題して、幾つかの内容を記してみたい。


ここでは、村上宗隆選手の活躍について。


今季の村上選手の活躍は、「10代歴代最高」「高卒2年目で歴代最高」という記録を相次ぎ打ち立てた。中西太選手、清原和博選手などが比較対象となるのだから、10年に1人という選手ではなく、半世紀に1人程度の選手の域だと思う。


村上選手の成績に対して、一部の球界OBは打率が低い為に評価できないという言い方をしている。個人的にはこうした評価に対して、全く与しない。誰も達成したことがない域の記録を達成した選手に対して、そうした評価が下されることが不思議でならない。


村上選手が低打率と言われるが、本当にそうだろうか。現在のヤクルト球団最高年俸選手であるバレンティン選手のスワローズ1年目の成績を記してみたい。


140試合 
打率.228  31本塁打 76打点
131三振 OPS.783


今季の村上選手の成績は以下の通り。

143試合(全試合出場)
打率.231  36本塁打  96打点
184三振 OPS.814


バレンティン選手の来日初年度は、低反発球だったと言えども、実は今季の村上選手の方が全ての面で上回っている。


三振数はバレンティン選手より50以上多い為、打撃が拙いという評価になるのかもしれない。だが、打率、本塁打、打点の主要3部門に加え、OPSも上回っているのだから、個人的には今季の村上選手は来日初年度のバレンティン選手の期待度を上回る活躍をしたと見ている。


バレンティン選手が在籍9年間で残した実績は、年間60本塁打というNPB本塁打記録の達成など、スワローズ歴代外国人選手の中でも最高レベルである。今オフにFAとなり、ソフトバンク球団が獲得に動いていると報じられるなど、自らの価値を高めてみせた。


バレンティン選手の来日後の推移を考えれば、村上選手は相当なレベルにまで達する可能性が高い選手だと思う。高卒で入団した池山隆寛選手、山田哲人選手の2年目までの成績、プレーぶりを振り返れば、ヤクルト球団の歴代最高選手になる可能性さえある。


今季の村上選手は低打率、三振数の多さ、守備のミスも目立った。村上選手の打撃、守備により、落としたゲームもあった。だが、未だ2年目で10代の選手という免罪符もあった感がある。


だが、チームの中核を成す選手となれば、周りからの目線や評価は厳しくなる。高いレベルの成績を残し続けても、批判されたり物足りなさを指摘されてしまう山田哲人選手のような立ち位置となるかもしれない。


それでも、村上選手はそうした厳しい状況さえも、乗り越えてしまいそうな雰囲気がある。自分は村上選手が新人王を獲得することを疑っていない。来季以降の活躍が本当に楽しみである。