ブルージェイズをDFAされた青木宣親選手に対する報道が増えている。その中には、来季に古巣であるスワローズへ復帰する可能性を示唆するものも散見される。


当ブログでは青木選手のスワローズ最終在籍年となった2011年に、全打席の結果を別記事で記し続ける程、注目していた。


当時は青木選手に対して、個人成績にしか興味がないといった見方もあった。更には青木選手がいるからスワローズが勝てないといったものもあった。


青木選手のMLB移籍後、スワローズファンの間では上田選手に対する期待が高かった気がする。だが、当ブログでは上田選手を「ポスト青木」と持ち上げる雰囲気に対して、「ポスト青木」は存在しないと記して、首位打者を3回獲得した青木選手の代わりになる域の選手などいる筈がないと記した。


青木選手のスワローズ在籍中に残した成績の比較対象として、スワローズOBの中では首位打者を2回獲得した若松勉選手(元監督)くらいしか自分には思い浮かばない。山田選手でさえ、首位打者は未だに獲得していない。


そんな青木選手だが、MLBでは通年で1度も打率3割に到達していない。そうした点にもMLBが世界中の選りすぐりの才能がしのぎを削る場である一端を感じられる。


果たして、青木選手は来季に古巣のスワローズに復帰する可能性があるだろうか。個人的には青木選手はあらゆる可能性を否定しないとは思うが、来季もMLBでプレーすることを最優先に考えるのではないかと思っている。


その理由として、青木選手は「メジャー登録日数」が5年を越えれば、引退後に毎年1000万円程度の年金受給資格を得るからである。


青木選手は2012年にブリュワーズで151試合、2013年に155試合、2014年はロイヤルズで132試合、2015年はジャイアンツで93試合、2016年はマリナーズで118試合、2017年はアストロズとブルージェイズで81試合に出場している。


MLBで年金受給資格を得るには、「メジャー球団在籍日数」ではなく、「メジャー登録日数」で5年以上在籍することが求められる。


1年間のメジャー登録日数は172日となっており、各球団の年間162試合に近い。MLBで年金受給資格を得るには、172日×5年=860日間メジャー登録されなければならない。


青木選手は今季でMLB移籍から6年が経過するが、出場試合数は730試合である。出場機会がないまま試合を消化した機会も一定数あるとは思うが、現段階では死球による登録外だった時期もあった為、メジャー登録日数860日間には達していないように思う。青木選手が来季もMLBでプレーすれば、この年金受給資格に到達する可能性がある。


NPBでは年金支給額が月額10万円とされる。だが、MLBではメジャー登録日数が5年に到達すれば、引退後に毎年1000万円程度が生涯にわたって支給される。年金受給資格の上限値であるメジャー登録日数が10年の場合、毎年2000万円程度が支給される。


ただし、MLBではメジャー登録日数が5年未満であれば、年金支給対象外である。


青木選手は30歳でMLBに活躍の場を移したが、このメジャー登録日数5年間というのは具体的な目標となるように思う。年金という金銭的な目標に止まらず、メジャー登録日数が5年以上となれば一流の証ともなるからである。


また、青木選手がスワローズに復帰する場合、ヤクルト球団が現在の推定年俸5億8000万円(550万ドル)を提示できるとは思えない。現実的には青木選手が在籍した最終2011年度の3億3000万円程度ではないだろうか。


カープに復帰した黒田投手は、MLB球団の年俸20億円を蹴って、広島球団と年俸6億円で契約を締結した。だが、黒田投手は既にMLBに7年在籍して、引退後に毎年1400万円程度となるMLBの年金受給資格を得ていた。


青木選手は来季までMLBでプレーを続ければ、MLBの年金受給を得られる。そして、MLBに契約を締結する意思のある球団があることが前提ではあるものの、現在から4割減の330万ドル(約3億5000万円)あたりであれば、契約が折り合う可能性があるかもしれない。


また、ヤクルト球団にとっては、青木選手を復帰させた場合、現場は雄平選手、坂口選手、(来季も残留の場合)バレンティン選手などと併用する必要がある。


ヤクルト球団がバレンティン選手との来季契約を更新しない場合には、青木選手の復帰という可能性があるかもしれないが、その場合には雄平選手、坂口選手、青木選手と皆同じ左打者で、タイプ的には被る印象もある。


青木選手にとって、MLBでは成し遂げていないワールドシリーズ制覇、年金受給資格の獲得という目標がある一方、スワローズ復帰という場合には金銭面に加えて、断トツの最下位チームに在籍するという意味合いを持つことになる。


個人的にはあくまでも現段階ではという印象だが、青木選手はMLBを最優先に交渉しながら、評価によってはスワローズをはじめとするNPB復帰も視野に入れる程度の状況だと思う。

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