『ホタルノヒカリ ナツジカン』
ホタルノヒカリを追いかけた先に
キミとの夏時間が始まる
#3「6月は雨の日が多いから 白い傘の下」
嫌なら逃げればいいのに
違う
キミのこと
見ることができないワタシは
恥ずかしいから
ワタシはワタシから逃げている
どうか
勘違いされませんように
ワタシは
ずっとこのままでいたいと願ってしまっている
白い傘の下
6月は雨の日が多いから
ひとりぼっちの時は
憂鬱で仕方なかった雨の日を
二人で過ごす時間が
雨音を聴くことが待ち遠しい
そんな風に
変えてくれたのかな
釣りを教えてもらったり
一緒に花を育てたり
一緒にムシを捕まえたり
そんな当たり前のように思える時間の中で
ワタシがこの島に来た時と違うことは
ひとり
か
ふたり
か
って
言葉にすれば
そんな単純なこと
笑ってる
しあわせ
キミがいなければ……
笑ってる
しあわせ
キミがいなければ……
笑ってる
しあわせ
キミがいなければ……
もっともっと距離を縮めたいのに
ワタシのココロにあるのは
キミが縮めて欲しいっていう願いと
ワタシの恥ずかしいという壁
それは
永遠であるという錯覚が
いつかきっとなんとかなるという
心地よい甘い夢を生みだしている
いつか
後悔という深い海の底に沈んでしまうかもしれないのに
それでも……
ずっとこのままでいたいと願ってしまっている
白い傘の下
もうすぐ6月が終わる
この島のホタルは6月の夜に(しか)姿を現さない
ワタシの時間も
キミの時間も
望んだ時間や望まない時間も
その中で発生する事象は
乱数的に繋ぎ合わさって
ずっと続いていくような
そんなだれもが抱いている
錯覚
そう
ワタシのココロの中にある靄は
その錯覚から解放された先に晴れるものなんだよ