枕草子を読んでいたら 虫のことについて書か

 れているこんな文章を見つけました。

 

第40段 虫は

本文 虫は 鈴虫。茅蜩(ひぐらし)。蝶。松虫。きりぎ

りす。機織り。われから。ひをむし。蛍。

現代語訳 虫は、スズムシ、ヒグラシ、チョウ、マツムシ、

キリギリス、ハタオリ、ワレカラ、ヒオムシ、ホタル。

 

本文 蓑虫、いとあはれなり。。鬼の生みたりければ、親

に似て、これも恐しき心あらむとて、親のあやしき衣引き

着せて「今、秋風吹かむ折ぞ来むとする。まてよ」と言い

置きて逃げて去にけるも知らず、風の音を聞き知りて、八

月ばかりになれば、「ちちよ、ちちよ」と、はかなげに鳴

く、いみじうあはれなり。

現代語訳 ミノムシは、とてもかわいそうだ。鬼が生んだ

子なので、親に似てこの子にも恐ろしい心があるだろうと、

親の粗末な着物(蓑)を着せて、「もうすぐ秋風が吹き始

めたら、迎えに来るからね。待ってなさいよ」と言い置い

て逃げてしまったのも知らないで、風の音から秋を知って、

八月ごろ(今の九月ごろ)になると、「父さん、父さん」

と心細げに鳴く。とても哀れだ。

 

         

 

        参考 松虫と鈴虫は今と逆。キリギリスは今

           のコオロギで、機織りは今のキリギリ

           ス。蓑虫の話は典拠不明。

 

 

    角川ソフィア文庫ビギナーズクラシックス

             日本の古典枕草子より