韓流ドラマを欠かさず観ていた時期がありました。
そのころはまだ義母がいて、長男と交代で彼女の介護を
していました。日中私が仕事に出かけている間は、長男
が家で仕事をしながら義母の世話をし、帰宅後は私がと
いう毎日でした。
そんな日々の中でのささやかな楽しみが、夜おそく放映
されていた韓流ドラマ ”チャングムの誓い” でした。
韓流ドラマお得意の ”サクセスストーリー” のひとつ
です。主人公に感情移入して、夢中で観ていた記憶があ
ります。今から思えば、現実逃避の一環だったのかもし
れません。
義母を見送ったあとも、韓流ドラマはたくさん見続け
ました。たいていは時代物です。でも、長く見続けてい
るうちに、韓流ドラマに見え隠れする あるパターンも
わかるようになってきました。そうなると、あまり夢中
になることもなくなりました。そしてある時気づいたこ
とがありました。
私が何故”日本のドラマ“を敬遠して、”韓流”にこだわる
のか、ということにです。まさかそれが 身体的理由に
よるものだとは考えていませんでした。
韓流ドラマには 字幕 が出ますから、内容がよく理解
できますが、日本のドラマには当然字幕は出ませんよね。
私はストーリーの流れを、字幕にたよっていたというこ
とだったのです。
そう言えば その少し前ごろから息子たちに言われてい
たことがありました。会話の途中聞き返すことが多かっ
たらしく、「補聴器つけた方がいいんじゃない」と。
補聴器をつけることは、ゆくゆくは仕方ないにしても、
なるべくなら先延ばしにしたかった。安いものではない
し、何より耳が遠くなったことを認めたくない自分がい
たから。
でも息子たちに私が聞こえないということは「僕たちが
困るし、何よりも認知症になる確率も高くなるんだよ」
と説得されて、つけることにしたのでした。
今では 聞こえることで毎日が充実しています。ブル
ートゥース機能がついていることで、テレビの音声や、
Aiphoneから流れてくる音楽もくっきり聞こえ、とても
快適です。
現在では韓流は、毛嫌いしているわけではありません
がすっかり卒業して、普通に健康番組や日本のドラマを
楽しめるようになりました。
自分のこの経験からわかること それは聞こえるか聞
こえないかの違いはとても大きいということ。これから
の人生に与える影響も大であるということ。そして、聞
こえないことに対する対処は、すっかり悪くなってから
ではなく、自分が普通に立っていられる間に、心がしっ
かりしている間にすべきだということです。