「新潟って良いですね～」
「いやいやいや」
「沖縄出身なんですか―」
「いやいやいや」
何故にいやいやいや？
☆ ☆ ☆
【憧れの土地への幻想と現実】
今回の参加者さまは、現新潟県民さまと沖縄県出身さま。
どちらも行ったことない上に、ちょっと憧れの土地でもあります。
新潟県と言ったら、もちろん日本酒とお米。
沖縄県と言ったら、泡盛とソーキソバ。
酒と食への欲望には、真っ向正直な呑んだくれです。
「新潟県のイメージって、やっぱりそんな感じ？」
「おのぼり的にそんな感じです」
「でも実際ね、ていうかうちの実家の周りなんだけど……『田んぼ』だらけだよ」
「『田んぼ』」
「そう。心ゆくまで田んぼ」
新潟県ってそんな平坦な土地でしたでしょうか？
ふと頭に思い浮かぶのは、左右に田んぼの並ぶ道をジョギングする、天使ヘアさま。
何処まで行ってもあるのは、田んぼ。田んぼ。田んぼ。
たまに鴨の親子が歩いてきたら、嗚呼―のどか。
「では今が稲が実りに実って」
「ううん、今刈り時だから、田んぼ丸裸」
「え」
丸裸の田んぼは……ちょっと寂しいです。
「じっちゃんの話だけど、昔はトキが飯食いに来たみたいだよ」
「トキ？」
「そうそう。トキが田んぼに降りてきて、飯食ってたって」
「………」
何やら色んな思考が頭を回ります。
今は絶滅危惧種のトキが、人さまの田んぼで飯を食らうとは……。
……新潟県、とてものどか。
「ちなみに良い情報としたら、こっちのスーパーでごく普通にレア日本酒が売っている」
「へぇ？！」
天使ヘアさま。着払いで良いので良いものピックアップして郵送してください。
「ちなみに沖縄はどうですか？」
「逆に聞きますけど、沖縄のイメージは？」
「泡盛！！」
「ゴーヤ」
「ラフテー（現在調理中）」
「シーサー」
「暑い！！」
「そりゃ南だし」
おのぼり的なイメージは、三味線で奏でる『ハイサイおじさん』。
南の国として、鮮やかなイメージが高いです。
実際のお話を聞きますと、確かに暑いですが家の造りがすでに猛暑対策をされているので、結構風通しが良いもの。
そしてシーサーは、どの家にも結構いること。
海に関しては、イメージ通りすごく綺麗ということでした。
「あと、よくハブが出ます」
「ハブ？」
「毒ヘビのハブです。よくマングースと闘っているやつです」
「ハブ」
「よく家の木にぶらさがってるんです」
？！
「あと、郵便ポストの中でトグロ巻いて寝ていたりとか」
何それ怖い。
「下手したら噛まれちゃいますよ？」
「あー大丈夫ですよ。捕まえて泡盛漬けにしますから」
「へ？」
「土産屋で『ハブ酒』って売っているの、見たことないですか？」
「……似たようなものは見たことあります」
「捕まえたら『ハブ酒』にして呑んでしまいます」
「ほぉっ？！」
何それ逞しい。
沖縄県民はアクティブだけでなく、日本上位に強者なのですか。
「……ちなみにお味は？」
「結構旨いぞ」
「んん？」
ふと回答が、ホールからではなくカウンターキッチンから。
そこに立つのは、当キッチンスタッフの甚平板長。
「呑んだことあるの？」
「ああ」
「んまいの？」
「古いと鱗が浮遊してきます」
「濾して飲むんですか」
「基本はな」
「……効果は」
「は？」
「効果は」
「………」
じばらく寡黙になった板長ですが、我が家にあるということで、次の機会に持ってきてくれるとのこと。
何故持っているかは、あえて突っ込まないようにしました。
それから間もなく、今回メインの『火鍋』が到着。
広東地方のしゃぶしゃぶみたいです。
さっそくと肉や野菜をしゃぶしゃぶして、口にパクリ。
素材の旨みがじんわりと広がっていきます。
その中、見覚えのある細長い物体。
まあ、確立として10分の一なので大丈夫であろうと、何の躊躇せずに一口。
「……ぶぐぅっっ!!」
口内に走ったのは、辛みを通り越した痛み。
吐き出すわけにもいかずにそのまま気合いで呑みこみ。
「ん？どうした？」
「ししとうが先祖返りした!!」
「ああ、残念だったな」
残念じゃないのです。
やられたこっちは痛いのです。
とりあえず気を取り直して、もう一本挑戦。
「……………ぐぐぅっ!!」
数分後、呑んだくれログアウトしました。
◆ ◆ ◆
後日、ハブ酒を検索してみました。
 ハブの苦手な方はご遠慮下さい！ハブ入りハブ酒（南都酒造所） 35度 800ml 【02P14Sep12】 |
ハブ入りだと軽く諭吉さん使用。
何ハブって高級食材なんですか？？
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