源氏の君へ☆持ち寄り日本酒会(男子による恋愛相談編） 20120818

20120818


【目のやり場に困る編】


「アデージョ姉さま」
「どうしたの～？」
「やはり宴の『華』というのは良いものですな―」
「ふふっ、そうねぇ～」

「……」

「姉さま」
「な～に？」
「たわわな果実を実らせる『華』は目のやり場に困りますな―」
「そうねぇ～」


すみませんでした。



☆　☆　☆



「私、にごり酒が好きなんです」
「私も大好きです!!」

◎桃川にごり原酒（にごり酒/青森県）◎
にごりの名のままに見事な濃厚っぷり。
白濁色に甘味のある香り、つぶつぶが残る触感がにごり好きとして嬉しいもの。
こっくりと喉に通る感覚とじんわりと広がる余韻がまた心地良いです。
原酒なので度数は高めの18度。加水して薄めても美味しそうです。


「これ呑んだ？」
「まだです」


◎田中六五（純米酒/福岡県）◎
香りは重厚感ある酒臭さ。
口に含むと、最初に控えめな甘味を感じますが、次第に酸味が顔を出してくるもの。
甘酸っぱいという表現ではなく、甘味と酸味が丁度良く相まっている印象です。
余韻はそれ程存在感を残さずにスッキリ。なかなかの色男酒です。


「試してないでしょ」
「して、元のお酒は？」
「秘密」


◎手作り梅酒(日本酒使用/4年熟成）◎
原材料は一切不明。
濃い杏色と濃厚な香りの立つ、こってり梅酒。
梅の酸味がよく溶け出していて、とても美味しかったです。
(※でも度数は高め）


「あのー、それ75度のお酒(※薬草リキュール）」
「元々洋酒専門なんです」
「洋酒部長、やらないか？」


毎度ながら、たくさん呑みました。

【男子による恋愛相談】

よいよいとお邪魔したのは、のんびりと愉しんでいた男性陣お二方の場。
ちょうど話題になっていたのは、Mさまの甥っ子のお話。


「甥っ子とか見ると、やっぱり子供欲しいと思うんですよね―」
「子供可愛いですよね―」
「絶対親バカになると思うんですよ自分」
「それ分かるっ！絶対そう」


子供欲しい願望の強い男子お二方。
賑わう賑わう甥っ子さんのお話。
仕草一つ一つが可愛く、寄ってくるとまたメロメロになってしまう云々と、ずいぶんとした溺愛トーク。
この呑み会にもパパさまがよくいらっしゃいますが、皆さま口を揃えて言うのが『うちの子可愛い』です。


「YOU☆さんはどうです？子供欲しいですか？」
「その前に材料がないですよ」
「……そういうのは置いといてね、どうなんですか？」


「………」


あいにくまだその経験がないのでどうとも言えませんが、いつも思うことは一つです。


「子供欲しいですけど、怖いかな」


子供は好きです。
正直欲しいと思うこともあります。
先ほどの会話でもありますが、子供ができたらきっと親バカになるであろうと思います。

でも、ですね。
矛盾しているかと思いますが、つくりたくないとも感じるのです。

歳の浅い子供でもないのに、馬鹿みたいな考えかと思いますが……。

子供をつくる。その過程が怖いです。


妊娠すること。
自分の身体が本当に自分だけのものにならなくなること。

日に日に大きくなる下腹部と重み。
自分の中で脈打ち、動く胎動。

あくまで想像の範囲ですが、それを今は喜びではなく恐怖と思う自分がいます。

どうしてと聞かれても、ただ怖いとしか返せません。


「それは不安だろうね。何せ命を宿すんだし」
「子供が欲しくなったらそんなの感じなくなるよ」
「……男の人は妊娠しませんよ？」
「そうだけど、その不安を取り除く手助けはできるよ」
「んーん」


頭の中でまとまらない感情を言葉にできず、頼るのは目の前のお猪口のみ。
酒気帯びとはいえ、真摯に聞いてくれているお二方に申し訳ないことです。


「自分が大事なんだよ」
「ほ？」
「自分が一番だけでなく、他に大切なものができればそういうのなくなるよ」
「ほ」
「相手を想う。子供を想うとなればさ」


「……要は『自己犠牲』ってこと」
「そうとまではいかないけど、うーん……」
「『自己犠牲』の精神でいればそんな感情なくなるでしょう」
「それはやり過ぎだって」
「だから『自分が大事』なんだよ」
「そりゃあ自分大切にしないと他人なんて大切にできませんよ」
「それはそうだ」
「うーん……」

脱線させる気はありませんが、こういう話はへべれけであろうと真面目です。
お二方の言うことは分かります。何となくですが。
先ほど提示したことは自分のエゴですし、未体験の何かに脅えているだけです。

そこは分かります。
きっと単純な私のことですから、できたらできたでそのまま順応してしまうと思います。
でも………。


「はぁ……っ」
「そんなため息つかなくても」
「すみません」
「でも思うけどね、その状況になったら気が変わると思うし、何より相手大事にすると思うよ？」
「うーん。尽くすタイプに見えるし」
「見えるだけかもしれませんぞ」
「そうかな―？」
「当たっているかもよ」
「………」


うまくまとめることはできませんが、大切なお話をありがとうございました。
この話は、ここで一旦締めさせて頂きました。


「でも子供以前にですけど。嫁さんできたら呑み会に来られなくなりますでしょう」
「旦那ね」
「そんなの関係ないですよ？」
「結婚してようとしてなくても、呑み会来てはいけないとかないよ」
「でもほれ、こっちがほいほい誘っても絶対嫁さん連れてこない愛妻家さんもいるし」
「それは夫婦間の事情でさ」
「では聞きましょう。嫁さんが呑み会やってもOKですか」
「OKです！」
「問題なし！」


それを忘れずに覚えておきます。

私も嫁さんには、自由主義でいて欲しいです。



「あ、カステラ食べたいです。まだありますか？」
「ないよ」
「え」
「ないよ」
「さっきあった」
「食った」


いつの間にか完食しているのではありませんや。



ありがとうございました。



◆　◆　◆



【※箱だけ】

貰いました。
貴重な十四代………。


の箱。


中身は不在です。

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