『改造』により身体の一部、または全身が楽器と化したサイボーグ。

通称『メタル』戦闘力の高さはもちろん、その楽器の演奏技術は人のそれを優に越えている。

彼らの奏でる音色は、人々の脳を直接刺激し、全てを支配することが可能であった。

彼らに心はなく、音楽をただの道具として使っている。


20XX年 ある一組のメタルバンドによって世の中は全ての価値観を一変させられた…。


音楽革命…政治・経済を含むすべてを超越した『音楽』が、世の中の頂点となった。人々はそれを『メタルビッグバン』と呼ぶ…。


『メタルビッグバン』以後、J-popは廃れ、メタルバンドグループが氾濫する。各々『力』のあるバンドが独立した国・町を作り経済の安定した地域もあれば、まさに混沌と化した地域もある。


そんな中、全国の統一を図るため、『エンド・オブ・ファイヤー』…音楽革命を起こした張本人が、動き始める。


『メタルミュージックヒューマノイド』通称『メタル』の開発を引き金に、世の中はさらなる混沌へと誘われていく…。

ロシアに対する情熱がまだまったくなかった頃、二宮権蔵(ニノミヤ ゴンゾウ・・・デッドニコフの本名)の隣家にロシアから越してきた女の子がいた。その眼の色、髪の色、人形のような顔立ちに彼の心は一瞬にして奪われた。


自分とはまったく違うその容姿、神秘的な魅力に憧れさえ覚えた。そんな彼女は彼の小学校の同級生となり、彼は暇さえあれば彼女を見つめてうっとりとしていた。しかし、そんな彼女の容姿から当然それを異質なものと感じるものも多かった。


その結果、彼女への「いじめ」が始まった。


もちろん権蔵はそのいじめの存在に気づいていたが、何もできずにいた。彼にとっては、話しかけることすら恐れ多く、彼女の転校以来、半径5メートル以内に近づくことすらできなかった。


しかし、その何もできない自分を呪っていた・・・。自分に何ができる・・・彼女はどう思うだろうか・・・。そんな葛藤の中、彼は行動する。自分のもっとも憧れる人が傷つけられている姿を見ていられなかった。


・・やめろ!!・・・


声にならない思いを叫ぶ。そしてなりふり構わずいじめっ子たちに突っ込んでいく・・・。


伊集院が手術から目覚めたとき、彼の失った左腕の延長線上にはエレキギターがあった。

彼の左腕はギターとして生まれ変わった。それは、彼の絶望の全てを振り払うことになる。

その左腕は生活をするためではなく、エレキギターとしての性能のみに特化したものである。

彼にはもう迷いはなかった。
師の前から姿を消した京士郎、彼はまだ歌の道をあきらめていなかった…。

人もろくに通らないサビた路地で彼は歌っていた。試行錯誤の末たどり着いた新ジャンル、それは…「メロディックデス演歌」だった…。