東大病院での手術も決まり

あとはそれまでの体調管理と

そして宮崎さんのリハビリの毎日


そんなある日の朝

ひとりの女医さんが部屋を訪ねてこられた

その方は宮崎さんの上司にあたる方で

リハビリテーション専門医でいらっしゃり

リハビリテーション科の科長さん

そして東葛病院の副院長の北村先生です

病院のホームページでお顔は存じてますが

ご本人とお会いするのは初めてでした

「お加減はいかがですか?」

優しい、なんと優しいお声なんでしょうか

「宮崎さんのお陰で準備万端です」

そう答えるのが精一杯なほど緊張してました

「そうですか…」

「心臓に少しでも負担をかけないように

CPAPやったほうがいいですよ」

睡眠時無呼吸症候群…これも持病にあって

心臓に負担をかけてる原因のひとつで

4年前も内科の近藤先生の指導のもと

治療を始めたものの退院したあと挫折し

途中でやめてしまったものです

心臓が少しでも良い状態になって

より安全に手術が受けられるように

先生がわざわざ病室を訪ねてくれた…

感激でいっぱいで…

二つ返事で「やらせていただきます」と

その後も頻繁に病室にお立ち寄りいただき

お声をかけていただきました。

先生の受け持たれる科とは病棟も

セクションも違うのに…感激でした


毎日リハビリを続けながら

CPAPで少しでも心臓を回復させながら

着々と転院の準備を進めていきました

看護師の松本さんは介護タクシーの手配を

エラジさんはお通じがないのを心配して

下剤や浣腸、ついには摘便まで…

「転院までに出せるものは全部出そう」

そう言って一生懸命やってくれました

他の看護師さんにも何から何まで

お世話になりながらなんとか

晴れて転院の日を迎える事が出来ました


ストレッチャーに乗り介護タクシー乗り

文京区の東大病院まで約2時間の道のり



歴史を感じさせるレンガの塀と門構え

広大な敷地に近代的な入院棟が2棟…

さすが天下の「東京大学医学部附属病院」

ストレッチャーに乗ったまま外来棟を移動

入院棟Aを6階まであがり整形病棟へ

通称「6南」、ここがしばらくの住みかに


看護師の浦野さんの出迎えをうけ

ササッと4人の看護師さんが集まり

ストレッチャーからベッドへ移乗

担当看護師が紹介され早速いろんな説明

息つく暇もなく検査、検査、検査

なにしろ手術まで1週間しかないから

手際がいいというか忙しないというか…

これが大学病院の医療チームなのか

検査の結果が揃い始めると待っているのは
いろいろなセクションの先生方の面談
まずは循環器の先生、次は麻酔科の先生
整形外科の執刀医の先生、そして主治医
驚いたのはリハビリのPTさん、OTさんまで

まず循環器の先生のコメント…
心臓の働きが25%の状態での手術は
かなりのリスクがあることは間違いない
麻酔科の先生もほぼ同じコメント
かなり手厳しい、遠回しに手術は❌
そう聞こえる
主治医の游先生と執刀医の大友先生は
何とか手術する方向で動いてくれている
ただリスクがかなり伴った手術になる
そのことには何ら変わりはない
波乱含みのまま9月24日に家族は呼ばれ
主治医、執刀医から説明されることに
果たして手術はおこなわれるのか…

(オペ看さんはこんな感じの方でした)

結果を言えば手術はおこなわれた
循環器と麻酔科の医師がスタンバイし
もしもの時のために万全な体制をとり
手術はナビゲーションシステムを使って
プレートをスクリューで固定し
脊柱管を拡げて脊髄の圧迫を徐圧する
書いてしまえばこれだけだけど
9時に始まった手術が終わったのは18時過ぎ

前夜はさすがに眠れなかった
"もしも"の時のためにすべての銀行口座の
キャッシュカードの暗証番号
保険なんかの手続きについてや
家や駐車場の契約書のことなどを
スマホに記録してロックの番号を長男に
メールで知らせた

人生最後の食事になるかも知れない
東大病院の夕食



「田島さん手術無事終りましたよ」
大友先生の大きな声が手術室に響いた
「ありがとうございました…」
ハッキリした口調で応えられた
生きてる、生きてる、生きてるぞぉ笑い泣き
「手グーパーして」グーパーグーパーできる
「足パタパタして」パタパタできるぞぉ
「脚挙がるかな」右重いけどあがるぞぉ

その後ICUに移り一泊して次の日に6南に
その後は怒涛のリハビリが待っていた
首の血抜きドレンが取れたと思ったら
ベッドをヘッドアップして体を起こす
ベッドサイドに座らせるそして立たせる
さすがに首の保護装具がないので
主治医から"ドクターストップ"がかかる

それならと今度はベッドで寝ながら筋トレ
首の保護装具が完成してからは
車椅子移乗と1日2時間の車椅子乗車
そして車椅子自走と車椅子トレーニング
順調とはいえないがどんどん進むリハビリ
平行棒での立ち上がり、歩行訓練まできた
その時手術した患部に異変が起こっていた