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世に生きて、移りに変わるは四季の色
人もまた、折々移る四季に同じ

春は桜を
夏には紫陽花

秋は紅葉
冬にゃ水仙

絶えず漂い変わらんは
喜怒哀楽のそれに同じ

時にその香は心を安らぎ
時にその香は心を乱さん
対に対する花弁こそ
相まみえる事なかれ
四方に散りて、世に残さん

生死に見ゆる華の色
色は匂えど散りぬるを
いずれ枯れんとする刹那
地に足下ろし、尚も上向く
死の間際すら、優美に飾らん
我ら人も、またこれ同じ

男は根を張り
女は花弁
その双方折り合えば
凛と佇む一輪花

花は散りとも種を蒔き
次の日の目にその香を残さん。

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もう二年前になりますが、
『鬼灯の中の華』
冒頭の口上です。

非常に懐かしいとともに、
忘れられない大好きな口上。

自身で書いたとはいえ、
舞台上で響いた口上は、
僕の手を遙かかなたに飛び立って、
素晴らしいものに成長していました。

つい先日、
下衆會メンバーとDVDを観ましたが、
やはりこの口上だけは、
目に耳に心に、すっと入ってくる。

その時その時の本人しだいで、
その内容や意味合いも、移りに変わる。

うん、好きだな。


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