夜分にこんなこと書くのも変ですが、

いまフジテレビでやっているドラマ「エルピス」。


面白い。ものすっごく面白い。

今までに観た民放ドラマで過去1番ですね。


いつも予防線を張って、何かの順位をつけたり評価する時、3本の指に入る!とか言いがちな私ですが、


エルピスは1番だと言える。

(まぁそんなにドラマ観たことないのですが、、、)

観返していないし真摯なドラマウォッチャーでないので個人の感想ですが、とにかく面白いです。


もはや文学。比喩のオンパレード。

文学好きにはたまらないのではないかと思います。


このドラマはストーリーももちろん面白いけど、ドラマを作る上での脚本や演出、演技がとにかくすごい。

だからもうもはやストーリーは簡単に想像のつく展開でも良いです。脚本はジョゼとコケッコーの渡辺あやさん。


特出して眞栄田郷敦、すごい。長澤まさみも鈴木亮平ももちろん大好きですが、とにかくこのドラマは今のところ眞栄田郷敦さんがすごいです。あと村井さん役の岡部たかしさん。


はぁ、正しいことがしたい。


と言うセリフが出てきます。

でも人がどこまでも正しくいようとしても、必ず正しさに目を瞑る時があること、どこまでいってもパワーバランスが生まれてしまうこと、そんなに綺麗に線引きできないこと、人は常に揺れていること。そんなことが書かれているように見えます。よくある分かりやすい登場人物の性格性はないです。


とても批判的なドラマだと思います。そこがツボです。対比がよく分かり、その対比がズレていったり反転したりします。そこが現実的だなーと思います。そんなドラマ今までなかなか無かったはずです。


長澤まさみの影響力の強さに、水飲むシーンが始めの方多かったからか、カルピスか何かと勘違いしてる人にはぜひ観て欲しい。


エルピスとは、希望あるいは厄災というものらしく、パンドラの箱に唯一残されていたものらしい。

ドラマにおいてエルピスが意味するものはおそらく提示されないけど、「正しさ」ではない。


ネタバレは世間的にNGなので観ていない人のために内容はなるべく書きませんが、


まずカバー画像。




画像編集しているように見えて、違います。吉田ユニさんらしくすべてファイルや書類でリアルに表現されています。


また登場人物の属性を暗喩するように、白グレー黒(影)の並び。

ドラマの看板としてはまったくキャッチーじゃないこの色彩に制作チームの強い意志を感じます。


そしてエンディング。明暗の構成、作られたものと作れないものの対比、演出の演出は意図が分かりやすいので割愛しますが、

1ピース欠けたイチゴのショートケーキが出てきます。1話目は作中に1ピースのショートケーキが出てくるので、それ以外の部分ということで読みました。ショートケーキを真顔で食べながら映像を見てるというカットは、ストーリーを如実に表していますよね。ニュースなどを疑いの目で見て来たわけですから。

自分が食べたショートケーキ以外の残りの部分は、また切り分けられて見知らぬ誰かのところに飲み込まれる。それぞれの事情があって語られないことがある。闇に消えていく、そんな描写ではないかと思います。

ですがなんと、毎回エンディングの映像がちょっと違うのです。なんなら音楽も違います。凝ってるなーとニヤけてしまうほどの細かさです。見直したらまた発見がありそうですが、どうも本編に対応して変わっているようです。細かい!


食欲に委ねた信頼(素直さ)の描写と、身体的なアプローチも多くを語っています。

どうしても抗えない感じと色気も良い。

枯れたドウダンツヅジ、活け直されたドウダンツヅジ。ソファにベッド。

すべてシャッターが閉まった商店街に、ひとつだけ空いているところ。比喩のオンパレードです。


「言語なんていう目の粗い道具だけで掬いきれない」

とかなんとか、深いです。


ごはん食べてる描写も良いです。サラダにカレーに高級レストラン、ゼリー、栄養補給食、雑炊。


「好きな女とうまいもん食いたい」という殺し文句。


考察系ドラマが流行りなのは分かるのですが、

ストーリーの展開以外にも、描写に注目しても面白いドラマ間違いなしです。


あぁ、伝わらないかもなぁー笑