「楓」と聞くと、一番に何を思い浮かべるだろうか。


スラムダンクの流川楓?
樹木としての楓?

僕の一番は。スピッツの「楓」

どの楓も思い出深いけど。

スラムダンクを読んでバスケを始めたし、カナダに留学もした。
でも、バスケの試合前も、カナダの森の中で泣いた時も、スピッツを聴いていた。


最近、友人の結婚式のために久しぶりに曲を作っている。
その曲は中学生が初めて作ったような簡素な出来なんだけど、まあ、
参考にいろんな曲を聴き返していた。

やっぱりプロはすごいなーなんて口ずさみながら耳馴染みの良いJPOPヒットソングを垂れ流していたのだけど、

改めてスピッツの凄さが沁みた。

やっぱりちょっと他と違う。
シンプルだし分かりやすいコードなんだけど、もうなんか次元が違うというか。

例えるなら、自分の母親とか父親みたいな。
街で見かける人が誰かの親だろうと知ったことはなく、単におじさんやおばさんでしかなくて、
でも自分の親は別次元で親なのと似た感じ。

スピッツはもう、他と比べられないくらい透明で、

きっとJ-POPのメロディとかサビとかの親なんだと思う。
誰にとっても他人事じゃないから、その他に混ざらない。

90年代の曲でYouTube再生1億回を超えたのはロビンソンが初だとか。ほら、次元が違う。



人生で初めて買ったCDはスピッツだった。
家でも色んな音楽は流れていたけど、
僕の音楽はスピッツから始まった。

初めてギターで弾いた曲もスピッツで、
ギターが好きになって色んな音楽を知っていった。洋楽も行き過ぎて最後はオーストラリアの曲とかまで探ったりしていた。それも全てスピッツがいたから。
結果的に空は飛べなかったけど、たくさんの魔法のコトバには出会えた。



初めて泣いた曲もスピッツだった。
それが楓だった。


楓を久しぶりに聴いて、

ああ、この曲は口ずさんでいないわ、ということに気がついた。

他の曲は一緒に歌っちゃうけど、楓だけは聴きたい。
音量をさらにひとつあげる。
聴きたい。
草野さんの声でその短い歌詞は、沁みますよ。

声を抱くとはなんだろう?とか、
よく考えたな。

スピッツは、
歌にのせる意味がある言葉を選んでいるように受け取れる。
あるいは、
歌に乗せることで言葉の意味が変わる。

「さよなら」ひとつにどれだけの意味が込められているんだろうとか勝手に深掘った。

さよならだけが人生だという言葉も相まって、
楓の花言葉になぞらえた自分なりの「大切な思い出」を思い浮かべながら、
歌詞には出てくることのない楓が色づく秋の風景が流れる。



草野さんの歌詞にはたくさん考えさせられて来た。

愛はコンビニでも買えるし、

シチリアの浜辺なんて見たこともないけど想像できてるし、

置いて来た何かを見に行こうって、最高なドライブな気がしている。

今の季節は、春の歌を聴いて、
「どうでもいい」とかそんな言葉で汚れた心を放ちましょう。



ちなみに一番好きな曲は、冷たい頬です。