ふと思い出すごとに、崎山蒼志を聴く。
その程度なので、別にファンとは名乗れないし、聴いたことのない歌も沢山ある。
メガネの少年、音楽センスやば、というイメージ
そんなでも、思い出す。急に口ずさみたくなる。
思い出させる力が歌にあるのだと思う。
それくらい魅力に溢れているし、毎度、彼のつくる音楽にはドキッとする。
当たり前にメロディーが進んでいかないし、言葉のキレがありすぎる。
一昨年はパンダ音楽祭で生ライブを聴いた。
圧巻だった。
刺さる、と歌うその言葉が刺さって、思わずグッズまで買った。
シンプルに、格好いいなと思った。
国という曲が好き。
何度も聴いてしまう。
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彼に、そのまま変わらないで欲しい、と言う人がいる。
なんて暴力的な言葉だろうかと思う。
「変わらないで」という呪縛に解き放たれるまで、僕は随分時間がかかった。
それこそ、魔法みたいにつきまとう。
自分を棚に上げて、誰かに夢を負わせる手法はズルい。
僕は昔を忘れたわけではなく、結構毎日思い出している。感謝をしている。自分の想いも忘れないようにメモしている。
やっぱりちょっとは恥ずかしくもなるけど、とても大切にしている。
でも過去には生きたくない、
ニーチェやコルビジェを見てきた。変わっていく、ぶれていく生き様のなかに、それでもぶれない芯があるほうが素敵に思える。
背伸びしていない感じ。
背伸びではなく、ちゃんと伸びている。
変わっていくことの方が魅力的だと思えるようになった。
ユーミンの卒業写真は、だから響く。
「変わってしまった」と言われて、離れていく人も大勢いる。
勝手に抱いた幻想で勝手に去っていかないで、と寂しく思うこともある。
昔からそんな感じで来ている。
マスクしていたら美人だけど、マスク外したらブスだね、
みたいな。
勝手に去っていかないで。それだったら初めからいらない。
みんなすぐ背負わせてる。
目立った責任からすぐ逃げるくせして、
責任をなすりつけることに罪悪感もなくて、
お金払いたくないけどお金ください、
マスク美人は貶しておいて、自分もそうなっている可能性も考えなくて、
変わってきたくせに、誰かには変わらないでと言ったり
そういうの好きじゃなかったな、昔から。
変わらない部分もちゃんとある
変わった部分も、当然。
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僕は中学生、高校生の頃、
本当に大事な時間を過ごした。
河川敷とか、海とか、公園とか、
未成年の行くあてのない夜の寂しさと、
この胸の、もやもやとわだかまって懐かしい変な気持ちが
崎山蒼志の声に繋がっている。
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時を止める 僕らだけの
幸せそうな 国をつくろう
かつて流した涙も忘れるくらいの
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この歌を聴くたびに泣きそうになる。