午前9時半



貸し切りトラックの到着予定時刻



気もそぞろ、店内で待ちきれなく外にて待つ



小春日和の予報とはいえ、やはり2月の冬ではあり



首のマフラーを巻き直しながら今か今かと国道の遠くを見やる



と、交差点へ大きな大きなカンガルー便がゆっくりと赤信号のブレーキ



きた!きた!



この地一等地の交差点へ、あたしの貸し切り便がやってきた



左折して、ドライバーさんと助手席さんが二人でこちらへ手を挙げる



あたし

駅前ロータリーを両手で表現しながら、ぐるっと回ってきたらここへここへとジェスチャー



旋回し終え、まっすぐ店の前へと向かってくる



これまでの25年間が走馬灯のように…



いや、苦しくて辛くて寂しくて

従業員もいない、お客も来ない店で

それでも、明日のお弁当買えたらと願い

ひとり待つ自分を思い出していた



まさか

巡り巡って、巡り巡って

一番従業員のいる、一番賑わう店に

返り咲こうとは



家族、親類、お世話になった人

勤める病院の患者さん、看護師さん

通う病院のお医者さん、看護師さん

なにより、従業員スタッフ、お客さんの

みんなの笑顔!!



なんてわたしは

決して一人ではなかったのだろう



トラックの脇が開き、新品の梱包された椅子たち



並べて終え、明日の営業を待つ店

間接照明の灯りがあたたかい

木と花のぬくもりもあたたかい

かおる香りはヒバ



ちからをちからに変えていこう

残りの生きる道をやさしく生きよう



明日こそ、春満開の一日予報



ありがとう、すべてに