廃人地下鉄職員日記

廃人地下鉄職員日記

鉄道員関係のものばっかり載せていきます
小説(という名の駄文)は自己満足です

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*らくちゃん宅ソーイくん×きり宅フジさんをまたお借りしました。
*Twitterの140字小説にしようと思ってたけど文字数オーバーで断念
*よって微妙な長さ(非常に短い)になり内容は意味不明の自己満足(^-^)安定
*ソイフジへの愛だけで勢いで書いた




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「ソーくんと出会って、幸せになっちゃったから…罰が当たったのかなあ?」

不意に彼女がポツリと呟いたその言葉は、真っ白な病室によく響いていつまでも消えなかった。
幸せになることが罰だなんて。
本当に神様なんてモノがいるのなら1発殴り飛ばしてやりたい。
そう思って拳を握り締めた俺を見て、考えている事が分かったのかくすくすと楽しそうに笑う彼女。

「そんなことしたら、それこそ罰が当たっちゃうよ」

そう話す彼女は、まるで死さえも歓迎しているようで。

「ソーくん、そんな顔しないで?ちょっと先に遠くに行くだけだよ。絶対、離れないから。」

大丈夫だよ。と、まるで幼子をあやすような声でなだめられてしまっては何も言えなくて。
1人こっそりと、神様へ挑戦状を叩きつけた。



彼女は神様にされている

(神様、勝負です)


(フジの花言葉は、)
(優しさ、歓迎、恋に酔う、決して離れない)

*らくちゃん宅ソーイくん×きり宅フジさんお借りしました。
*いつまでも幸せにいて欲しいという私の自己満足の塊←
*安定の駄文





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定時に仕事を終えて、いつも通りに彼女が待つ病室へといつもより早足で歩く。

今日は特別な日になるんです。


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「…お嫁さん、っていいですよねぇ…」

数週間前、病室のドアをノックしようとした時に聞こえてきた声。
それは間違いなく最愛の彼女のものだった。
もう一つ別の声が聞こえる。
ナースだろうか?どうやら回診の時間だったらしい。
入るタイミングを逃してしまったので、仕方無しに扉の向こうの会話に耳を傾ける。

「もしかして!ついにあの彼とご結婚ですか?」
「そ、そんな!違いますよ!!友達が結婚するらしくて…」

きっとあわあわと手と首を振りながら真っ赤になって否定しているのだろう。
想像してみてあまりの可愛さにしゃがみこんだ。
同時に速攻で否定されたことに若干、いや大分へこんだけれど。

「あら、それはおめでたいですね!…でも、フジさんもお付き合いされているんでしょう?」
「…は、はい…ソーくんは…ううん彼は好き、いえ、大好きなんです。」
「だったら!フジさんもお嫁さんになれますよ!」
「…ありがとうございます。……でも…わたしこんなんだから…彼を、縛り付けたくはないんです」
「フジさん…」

彼女の言おうとしていることが、その先が、聞かなくてもわかってしまった。

彼女は病気だ。
いつまで生きていられるのかは分からないけれど、生涯添い遂げることができないことを自分も、彼女も知っている。
だから結婚という契りで自分のことを縛りたくないのだろう。


わかっていた。
彼女にお付き合いを申し込むときも言われていたはずだ。
けれど心のどこかでそんな日が来なければいい、と思っていたのも確かで。

これ以上聞いてしまうのは辛くて、会いに来たはずなのに何もせずにこの日は病室を後にしたのだ。


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そして、今日。


コンコン、ココン。

「!ソーくんどうぞ!」

彼女と自分しか知らない、秘密のノック。
ドアを開けると、真っ白なベッドの上でお裁縫をしながらこちらに微笑む彼女がいた。

「お仕事お疲れさま!今日は何があったの?」

はやくはやくと目をキラキラさせて急かす彼女は自分よりも年上なのにこどものようで。
つい、クスリと小さく笑ってしまった。

「あー!ソーくん今バカにしたでしょう!」

もー!と小さくほっぺをふくらませてこちらを睨む。
マスクをつけていて、なおかつ聞こえるか聞こえないかの小さな声だったというのに。
彼女にはなんでもお見通しだ。

けれど、流石にこれは分からないだろう。

おもむろにカバンの中を漁り始めた自分を見て、頭の上にクエスチョンマークを浮かべながらこちらを覗き込む彼女。

取り出したのはリボンをかけられた手のひらサイズの小さな箱。

「ソーくん、それなあに…?」

リボンをといて箱を開き彼女の前に跪いた。
中を見た彼女が息をのむ。

箱の中にはシンプルだけれど可愛らしい、シルバーの指輪。

「ソーくん、これ…」
「…………フジ、さん……」

情けないことに手が、声が震える。
けれど、彼女は勘違いをしているから。

「……俺、は……縛るとか、縛られる…とか…思ってない、です…。……ただ、フジさんと…一緒に、いたいだけ…なんです…。例え、それに…限りがあったとしても……だから…俺と…結婚…して、くれますか…?」

反応がない。
心配になってちらりと彼女の顔を覗くと、はらはらと頬を伝う雫。
内心とても慌てたが、それを表に出すわけにはいかない。
彼女の涙をそっと掬い、薬指に指輪をはめる。
サイズはぴったりだった。


「あのね、ソーくん。
わたし、白って嫌いだったの。」

少しの沈黙の後、彼女が言った。

「小さいときからずーっと見てきたわたしの世界。真っ白でなんにもなくて。外にはもっとたくさんの色があるのに、って。
…でもね、昔からお嫁さんには憧れてたの。」

おかしいよね、ウェディングドレスは白いのに。
と彼女は皮肉に笑った。


「…わたし、今すっごく幸せ。ソーくんのお嫁さんになれて、死んじゃいそうなくらい幸せ。」


まだ若干涙の交じる声で幸せそうに頬を染める彼女は、夕焼けに照らされてとても綺麗で。
新婦の顔を覆うヴェールはないけれど。
誓いの意味を込めてそっとキスをした。



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(健やかなるときも、病めるときも)
(喜びのときも、悲しみのときも)
(富めるときも、貧しいときも)
(これを愛し、これを敬い)
(これを慰め、これを助け)
(その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?)

*まぁ例の如く駄文自己満足(^-^)←
*とまちゃん宅のジンマくん、イラクサくん拝借。
*サブマスもちらっと出てくる。←妄想100%
*貧乏性な私によるただの保存みたいな感じです。


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その日の朝は特別静かで、起きてなんだかいつもと違う感じがした。
なにが、とは言えないけれど、でも確実に何かが違う。

ベッドの上で顎に手を当てるも一向に分からない。

「?…なんだろ……って!もうこんな時間?!ちこくしちゃう!!」

壁にかかるモンスターボール型の時計は朝礼30分前を指していた。



「いってきますー!」

誰もいない部屋へ一言叫んで飛び出した。
寮から駅までの道のりを猛ダッシュする。
この角を曲がると、毎朝挨拶をする老人の霊がいた筈だ。

「おじいちゃんおはよ!…ってあれ、いっつもここにいたのに…いなくなってる…」

足を止めて辺りを見回すもそれらしき人はどこにも見当たらない。

「…じょーぶつ、できたのかな…!」

少しさみしいけども、やっぱり在るべきところにいるべきなのだ。

「…って!時間ないんだった!!」

慌ててまた足を急がせた。


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「ふへー…ぎ、ぎりぎりとーちゃく…」

時間的にはほんの少しアウトだろうが、ボスたちがまだ来てないからセーフということにしておこう。
その証拠にまだ事務室内は少しざわついている。

ここで、また違和感。

「…あれ?じんちゃんいない…?」

上がっていた息を整えつつ周囲を見渡して気づいた。
視える人にしか視えない、最愛の彼が事務室内のどこにもいないのだ。
そもそもこんなギリギリに到着したのなら皮肉の一つや二つ言いに、近くまで来てくれるはずなのだ。
おかしいなぁと思っていると、ギィと後ろの扉が開く音。

「すみません、少々遅れました」
「みんな待たせてごめんね!」

このギアステーションの双子のボスがご到着。
ざわめいていた事務室内が一斉に静まり返った。

「では、朝礼をはじめます!」


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「…連絡、報告等は以上です。クダリ、何かございますか?」
「ルールを守って安全運転、ダイヤを守ってみなさんスマイル!今日もみんなでがんばろう!」
「それでは!持ち場についてくださいまし!」

朝礼中、ダメだとわかっていてもつい姿を探してしまった。
けれどやはり見当たらない。
今日は午前中はデスクワークで午後からトレイン。
机の前から動けなくなる前に、探し人の居場所を一番知っているであろう紫髪の彼を引き止めた。

「イラクサちゃん!」
「あぁ、チハですか。おはようございます」

自分に気付くと少し屈んで挨拶をしてくれた。
彼のそういうところが優しくて、好きだなぁと思う。
もちろん、探している彼とは別の意味で。

「あ、あのね…その…じんちゃん、見てない?」
「?え、そこにいますよ?」

ほら、と彼は私の後ろを指差した。
彼の指差す先はホームへと繋がる通路だ。
なんだ、いるんじゃないか!と嬉々として振り返った。
が、しかし。自分の視界に緑髪の彼はいない。

「…チハ?」

振り返ったきり黙り込んだままの自分を見て、おかしいと感じたのだろう。
心配そうな声色で自分の名前を呼ぶ。

「イラクサちゃん……じんちゃん、いない、よ…?」
「え…?」

彼が息をのむ音がした。

どうして、彼に見えているのに、自分にも見えるはずなのに、視えるはずなのに。


ここまできて、朝の違和感に気づいた。

いつもより静かだった部屋。
それは日常的に聞けていたモノたちの声が、姿が、認識できなくなっていたことによる静けさだとしたら。
それならば全部すっきりする。
老人がいなくなったのではない、自分が視えなくなっていたのだ。
視えなくなれば声を聞くことも、触れることもできなくなる。


「じんちゃん…?そこに、いるの…?」

聞こえない、視えない、触れられない。
そんなわけない。
そんなの、信じたくない。

「ちが…っ、やだ…よ…なんで、ど、して…っあああああああああ」


でも、やっぱり視えないの。
ねぇ、かみさま。

お願いだから、もう悪いことしないから、だから

チハからじんちゃんをとらないで。