2024/9/20(金)の各ニュースサイトの記事で、文化庁の令和5年度における「国語に関する世論調査」結果が配信された。

記事のタイトルには、「読書離れ」「1ヶ月に読む本の冊数=読まない人が、約6割」などの見出しが並ぶ。
総じて、ショッキングなニュースとして知らせている。
調査対象は16歳以降、つまり高校生以上の個人で、有効回答数=3559人。調査方法は郵送による調査とのこと。
こんな面倒くさい調査にわざわざ応じた人でこの結果ということは、「本なんか読んでねーよ」という人がわざわざ回答しないだろうと考えると、実態はもっとひどい状況なのではないか、ということが想像できる。

で、この結果に対してであるが、数ヶ月前まで「読んで月あたり1冊程度」だった私としては、納得できる数字ではある。
基本的にはネット中心の世界に移行しており、ネットを閲覧しているだけでアッという間に時が過ぎていく。
ネットには、短文・短時間でインパクトのある動画や記事・メッセージであふれており、日々情報がアップデートされている。
これらのメディアに依存すれば依存するほど、一から長文を読み通さなければならないメディア(本)からは遠ざかっていく。
動画でさえ、途中を倍速で流して視聴する層が増えている時短社会になりつつある中、じっくりと頭から長い文章を読む行為が倦厭されるのは当然といえば当然となる。

ちなみに、会社ではどうかというと、長文=悪、という風潮がはびこっており、文章がだらだら続く作業報告書などは大分駆逐され、パワーポイントを使って図や表を多用したわかりやすい報告書にシフトしている。
特にコロナ禍以降、オンライン会議をするのに従来のExcel等を使ったA3横/A4縦形式のものは画面からだと見ずらいため実質作成禁止となり、パワポで1画面に収まるように表示できる形式のものでの作成が推奨されている。さらにパワポ資料でも文字だらけのページは、それだけで指摘が入る状況。

なんだかんだ、ITが浸透し、本当の意味での単純作業は大分駆逐された。その結果、複雑な手順もしくは手順化できない複雑なものをどう効率的に処理するか、または、システム提供側はIT化されたが、利用者側はITを利用して実質個人でこなさないといけなくなった事務作業などが仕事の大半を占め、それをあまり多くない賃金で大量にこなすのに時間が取られる。または、溢れる情報をいかに整理し処理していくかに時間を多く取られる。そういった社会に変質した。
それらが積み重なっていった結果、小説などにじっくり向かう時間が取れなくなくなり、知的情報の収集はスマホなどで簡易的に取得するケースが主流になった、と思われる。

しかし、このままでいいのか?というと、それは違うのでは? となるのが悩みどころ。

ワープロやパソコンの登場により、漢字を書く機会が減ったため、漢字が書けない人が増えた。
それと同様、長文を読んだり書いたりする機会が減れば、長文を読んだり書けなくなる人が増えるだろう。
そして、それは、社会に必ず何らかの悪影響を及ぼすだろう。
どのような影響か? 具体的にはわからない。ただ、文章に関することだけに、人々のコミュニケーション・意思の伝達などに、影響を与えるのではないだろうか。
それともこれは杞憂であり、デジタルネイティブ中心に、新しいコミュニケーションを創造していくだけ、なのであろうか。

ちなみに、私はなぜ、最近読書をするようになったのか?
簡単に言うと、電子媒体に疲れたから、である。
一応、IT関係の仕事をしているので、技術本はよく購入するし、最近は電子書籍を購入するのが当たり前になっていた。
さらに、まだ書籍化していないような情報は、ネットニュースやSMSから得るようにしているし、パワポやExcel/Wordの報告書を書いたり読んだりチェックしたり、といったタスクを限られた時間で多数こなすことが日常業務である。
そんな中で、スマホで文字や映像を見ることについて、大分苦痛になってきた。また、一度読んだ電子書籍が最近はさっぱり頭の中に残っていないことに気がついた。
年なのだろうと思うが、そんなとき、少し前にやっていた気に入ったドラマの文庫本を買って読んでみたら、新鮮な気持ちで楽しく読むことができた。
最近は、前ほど仕事や家庭生活に追われることもなくなってきているので、文庫本の読書を続けていたら、それが習慣化してきた、という感じ。
なお、私はそもそも忘れやすい性質なので、読んだ本は記録に残そうと。どうせ記録に残すのであれば、ブログに上げてみようと。そうすれば、その記録化も習慣化するのではないか。
そんな感じで読書も感想のブログアップも習慣化した。

現在のデジタル中心になりつつある社会は、明らかに人間そのものを変えつつある。
それがわかったうえで、身近な話として、自分の子供に対して「紙の本を読みなさい」なのか、「電子書籍を読みなさい」なのか。
まぁ、「好きにしなさい」のトーンでひとまずは、様子をみていきたい。


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