2022金沢の旅27
しいのき迎賓館
1/6(木)
件の建物は旧県庁の歴史的建造物をリノベーションした、「しいのき迎賓館」というものだった。昨晩我々が見たのはここに入っている、「カフェ&ブラッスリー ポール・ボキューズ」の窓だったのだ。「ポール・ボキューズ」といえば、フランスの本店がミシュランの三つ星、この名を冠したブラッセリーが六本木の国立新美術館にあるが、いつも混み合っている。事実、何度も国立新美術館ではこの店の前までは行っているが、必ず待っている人たちが大勢いて、一度も入れた試しはない。よし、ここで覗いていかない手はない、とばかり寄っていくことにした。
この奥が「カフェ&ブラッスリー ポール・ボキューズ」。国立新美術館のなど、並ばずに入れることはあり得ない
驚いたことに、この時刻、客は我々だけ。平日の、それもランチとディナーのはざまの時間帯とはいえ、これだけネームバリューのある店が貸し切り状態。これだから地方都市の旅は堪えられないのだ。逆に言うと、都内の窮屈さが尋常じゃない、ということなのだが。
ケーキセット¥850を頼んだ時点で、21世紀美術館はもうどうでもよくなっていた。まあ、あそこには一度入ってみたこともあったし、何が何でも見たい企画展をやっているわけでもないから、また来りゃいいじゃん、ということだ。
もう、21世紀美術館はどうでもよくなっている
ケーキや飲み物もなかなかのもの、少なくとも、この間の辻口の店に劣るようには思えない。それにロケーションは最高。金沢城公園は、その石垣が店の片側一杯に広がったガラス窓から一望できるが、夕刻になって、その上に生い茂る木立に集まるカラスの群れがすごい。夕暮れ迫る石垣と木立はすでにシルエットと化しているが、何百という数のカラスが、集合、離散を繰り返しながら、群れは段々数を増す。これを写真とビデオに撮ろうと試みたが、なかなかうまくはいかなかった。どれくらいここにいただろう。例によって日記も書いたはずだが、外はすっかり宵闇に包まれた。
夕刻になり、金沢城公園に群がるカラスの凄いこと!
店を出て、ついでだからここの上階も見てみようと階段を上ると、2階は「ジャルダン・ポール・ボキューズ」、超高級レストランだ。店先に出ているウエイターの様子からも、普通のグレードじゃない感じがありありと覗える。
こりゃビビるな。よっぽど何かの記念でもない限り、我々の行くべきところではなさそうである、といいながら、今度来たときにはここを予約してみたい、という気持ちもないではない。そうなると、ジャケットに革靴の用意は必須だな。
「ジャルダン・ポール・ボキューズ」はこの階段を上った先
正面階段の踊り場には漆と金箔で描かれた石川県の地図がある。元からあったものか、はたまたリノベーションの際に付け加えられたものだろうか。いずれにしても「迎賓館」というにふさわしい風格の建築である。
漆と金箔で描かれた石川県の地図
正面の玄関から外へ出てみると、この「しいのき迎賓館」の名前の由来か、立派な椎の大木があった。
その名の通り立派な椎の大木
すでにすっかり日は暮れているが、こちら側の外観は、いかにも歴史的建造物の雰囲気、裏手のガラスを多用した現代風のものと、まさに好一対。
正面と裏手でこの違いだ(しいのき迎賓館HPより転載)
この界隈は、おしゃれ、というより高級な雰囲気を漂わせる商店やギャラリーが立ち並ぶエリアになっている。ガイドブックにも必ず載る「旧四高記念館」もあるし、改めてまた歩いてみたい、と思わせるところ。
「しいのき迎賓館」の案内
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